| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2016年06月20日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 立東舎 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | 文庫 |
| SKU | 9784845628162 |
| ページ数 | 176 |
構成数 : 1枚
【CONTENTS】
■音楽と人生
僕の生い立ち/音楽家をめざす/作曲家への転向
■ヒット曲の周辺
人生のラッパ手/桂馬人間のうた/裕次郎の死/僕の勲章
■音楽の秘密
リズムと間/ブランコと躍動感/エンジン民族/作詞作曲のコツ/プロとアマ
■人生いろいろ
小説家と作曲家/もう一人のハマクラ/死の予感/ヅンタッター/湿潤音楽/耳利き、他
昭和の大作曲家、浜口庫之助唯一の著書を、生誕100年に先駆けて緊急復刻!
「黄色いさくらんぼ」「バラが咲いた」「夜霧よ今夜もありがとう」「涙くんさよなら」など数多くのヒットを放った昭和の大作曲家、浜口庫之助の自伝的エッセイにして唯一の著書(1991年刊)を文庫化。自らの生い立ちや音楽についての考え、作詞作曲の技法、人生訓などさまざまなテーマを論じています。昭和のポピュラー音楽史としても貴重な資料です。

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《人生は面白い。苦労すればするほど、なにかを覚えていく。「もうからないことをやれ」という意味も分かった。景気がいいときに、寄ってきて、ダメになると逃げる人間は、何が起こっても必ず逃げる人間ではないだろうか。いくらその後成功しようとも、一度逃げた奴はダメな人間だ。いつも負け犬の目をしている。勇気ある人間の人生は、いつかは必ず太陽に恵まれる。
(中略)
ある日、新宿のコマ劇場に、デスティネの率いる西インド諸島の舞踊団を見にいった。彼は白髪の小さな老人だったが、開演前に挨拶に立ち「郷土の芸術を、日本の皆さんに披露できるのは、光栄なことです」と、胸を張った。僕は、その言葉を聞いて、ハッと思った。
ちょうどそのころ、僕のところにアメリカ公演の話がきていた。だが、楽団を連れてアメリカに行っても、僕はなんと挨拶したらいいのか。「皆さんの真似をしにきました」とでもいうのか。演奏することも大切だが、日本の曲を創作することは、もっと重要なことではないか。
翌日、僕はアメリカ巡業の話を断り、バンドのメンバーを集めて、解散を宣言した。昭和三十二年、四十歳のときである。》
《僕は、音楽家は人生のラッパ手だ、と思っている。軍隊でいうと、戦車に乗っている人もいるし、大砲を撃っている人もいるし、歩兵もいる。だけど、僕らは、「タッタッタッタカタッタッタ」と吹くだけだ。
鉄砲も持たず、戦車にも乗っていない。つまり、金があるわけではないし、権力も持っていないということだ。それでも、弾の一番飛んでくる最前線に立つ勇気だけは持っていなければならない。金が欲しくなったり、権力が欲しくなったりすると、ダメになる。戦車の陰や一番後ろで吹いても意味はない。》
《プロの歌手をめざすような人は、「どうぞ」を聞いて、上がるべきか、上がらざるべきか、また上がったら、何分ぐらいで引き揚げるべきか、判断できなければ、成功はおぼつかない。》(本書より)