ローンことマット・カトラーによる6枚目のアルバム『Levitate』は、前作『Reality Testing』におけるヒップホップとハウスの温かな邂逅からの新たな出発点とでも言うべき作品である。ブレイクビーツのおりなす俊敏な音楽のドライヴに、リスナーは驚嘆せざるを得ないであろう。
前作『Reality Testing』のリリース後、ライターズ・ブロックに行き当たったカトラーは、約半年間もの間、全くインスピレーションが浮かび上がらなかった。
しかし、ニューヨークにてその悩みは解消された。病気の為、ベッドで寝たきりとなり熱にうなされたカトラーは、幻覚を見始めたのである。
「とにかく恐ろしい体験だった。眠ろうとすると狂気のレイヴ・チューンが頭を駆け巡るんだ。回復した後、速くて熱っぽい曲のアイデアが浮かびあがってきた。そのあとはLAで友人とジャングルやハードコアのエディットにいそしんだよ。色々なレアなジャングルのトラックのピースをつなぎ合わせたりしてね。そして、LAの完璧なまでに真っ青な空の下、スピードをあげてドライブを楽しんでる時なんかに最適なエネルギッシュなトラックが完成したんだ。そしてそれはNYで熱にうなされている時に聞こえていた音楽にそっくりなんだ!新しいテーマが降りてきた瞬間だったよ。」
結果として、ハードコア~ジャングル~アンビエントを爽やかに通り抜けていく34分の激烈なサイケデリック・ジャーニーが誕生した。
発売・販売元 提供資料(2016/06/24)
2年ぶり6枚目となる新作は、まったく曲が書けないという激スランプの反動で辿り着いたという煌びやかなハードコア~ジャングル作品に。冒頭から連打される倍の倍で刻んでいくビートの昂揚感と、随所でアイシングしてくれるアンビエントのバランスの抜き差しはもうこの世のものとは思えない気持ち良さ。季節が何度過ぎようとも色褪せないレイヴのカタルシスを追いかけるその姿には、やはりR&Sの看板が相応しい。
bounce (C)ヌーディーマン
タワーレコード(vol.391(2016年5月25日発行号)掲載)