先日、作曲家としての大作「Virginal Variations」の東京初演を成功させ、内外からいよいよ注目を集める日野浩志郎。彼のソロ・ユニットYPYの世界流通アルバムが遂に発表される。誰もが認める2010sの才能、日野はクラブシーンから出現したトラックメイカー/音楽家だが、その腰の低さと反比例するような強力な作家性ゆえ、地下の箱に収まろうはずも無く、噴出する創造パワーを押さえ込んでいる状態。そんな日々ライブと録音に明け暮れるYPYだが実はリリースが少なく本作の価値は相当に高い。このアルバムでは彼が率いるバンド、goatのストイックな姿勢とは異なる、初期衝動的かつ多面的なリズム探求を聞かせる。今回は盟友、行松陽介が選曲アドバイスし、こうした日野の衝動をアルバムに定着させた。圧縮された質量感のある音をもち、様式は電子音楽だが、アフリカの土着音楽のような、生き物のような妙な有機感をもつのがYPYの特徴のひとつで、それは音作りにカセットテープを用いていることにも関係している。なお、表題曲「ズリレズム」は偶然起こった機材トラブルを逆手にとった摩訶不思議な作品でYPYの初録音作!
発売・販売元 提供資料(2016/04/27)
音に対するフェティシズムと、ミニマルで民族的なリズムに徹底的にフォーカスしたサウンドを表出させる関西の重要バンドgoat主宰、日野浩志郎のソロ名義YPYの初録音作。goatでは誰か1音でも間違えると成り立たない様なストイックさを人力でやってのける点が個性で魅力だが、本作ではもっと余白があり、偶然出来上がったループを楽しむ様な客観性も感じ取れる。実際表題曲は機材のトラブルを取り入れたトラックだという。カセットテープを用いて制作されたローファイな音質で、ダンスともミニマルとも違う新たな音の体験を提示している。
intoxicate (C)池田敏弘
タワーレコード(vol.122(2016年6月10日発行号)掲載)