東京を拠点に活動する4人組ミツメによる2016年リリースのフルアルバム。「バンドで演奏されることに重きを置いた」という本作は、歯切れの良いギターカッティングの心地よい(1)や冷ややかなファンクナンバー(5)など、必要最低限の音で熱しすぎず冷めすぎない平熱のバンドサウンドを展開。数多の海外の音楽から影響を受けつつ独自の日本語ポップスを飄々と探求する様は音楽性は違えどかつてのはっぴいえんどの姿勢と通ずる。
(C)新宿店:TANAKAMAN
タワーレコード(2019/06/06)
2009年結成の4人組バンド、ミツメのフル・アルバム。録音物でしか表現できない作品アプローチをおこなった前作『ささやき』(2014年)に比べ、"バンドで演奏する"ことに重きをおいて制作された今作。過去のミツメが持つポップでキャッチーなサウンドや、詩的で繊細な歌詞はもちろん、近年のミツメがこだわってきた完全オリジナルのミツメサウンドが確立された一枚。 (C)RS
JMD(2016/04/15)
スタジオワークを追求した『ささやき』から一転、音数を絞ったミニマルなアンサンブルを志向した2015年のEP『めまい』を経て、生演奏による独自のバンド・サウンドを完成させたのが本作だと言えよう。この4人のチャームである心地良い気怠さはそのままに、これまでより少しだけBPMを上げ、リズムはよりファンキーに変化。また、クランチ気味の2本のギターはカッティングを軸にしつつ、曲によって多彩に絡み合い、ときにはそれぞれのフレーズを奏で、楽曲にさまざまな表情をつけていく。キャッチーなコーラスが耳に残る"あこがれ"や、長尺のサイケデリック・ジャムを聴かせる"漂う船"など、ミツメを聴いて〈すぐにライヴが見たい!〉と思ったのは初めてかも。さらには、スピードを強要してくるような現代に対し、文字通りの〈長い一日〉をじっくりと描いた構成も素晴らしく、その独自にして、早くも〈孤高〉とすら呼びたくなるような佇まいは、ちょうど20年前に『LONG SEASON』を発表したあのバンドを連想させる。
bounce (C)金子厚武
タワーレコード(vol.391(2016年5月25日発行号)掲載)