全てを奪われた男は、新しい家族のため、愛のため、光を求めて、闘いを挑む。

★フランスの鬼才ジャック・オディアール監督が描く人間ドラマの傑作!
セザール賞新人監督賞を受賞した『天使が隣で眠る夜』(94)でデビューを飾り、『リード・マイ・リップス』(01)、『真夜中のピアニスト』(05)、『君と歩く世界』(12)など、発表するごとにセザール賞を多部門にわたって独占してきたフランスの鬼才ジャック・オディアール。そして2015年のカンヌ映画祭で本作が、コーエン兄弟、グザヴィエ・ドランら気鋭審査員の満場一致のもと、話題作を抑え、最高賞のパルムドールに輝いた。

★スリランカの戦禍からフランスへ、家族を装って逃れてきたディーパンと女と少女。暴力を捨てた男が、愛のため、家族のために闘いの階段を昇ってゆく──。
内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに"家族"を装う元兵士ディーパン。パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、彼は団地の管理人の職を手にする。しかし彼らがささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。偽装家族から真の家族の絆を生み出さんとする個の闘いをパワフル且つ、スタイリッシュに描き、人種、宗教、移民問題に揺れる欧州の"今"を鮮やかに取り込んだ人間ドラマの傑作。

★主演は演技未経験の元兵士! ジャック・オディアールのマジカルな演出が悩める魂を引き出す。
本作で主人公ディーパンを演じたのは、スリランカ内戦の元兵士であり、亡命後、作家として活躍するアントニーターサン・ジェスターサン。オディアールは演技経験のない主演男優の荒削りな魅力を巧みに操り、悩めるディーパンの魂をスクリーンに浮かび上がらせた。ディーパンの偽の妻であるヤリニ役のカレアスワリ・スリニバサンは、インドの劇団で経験を積んだ女優ではあるが映画は初出演、少女イラヤル役のカラウタヤニ・ヴィナシタンビも演技未経験者だった。