前作から7年ぶりにリリースとなるカールの新作『イントロデューシング・カール・ブラウ』は、60年代後半~70年代前半にかけてのナッシュビルのカントリー/ソウルをメインに収録したカヴァー集。キャリア20年を超える彼が、なぜいまさらそのタイトルを冠したのか、その理由を今作のプロデューサーであるTucker Martine(マイ・モーニング・ジャケット、ザ・ディセンバリスツ)が語る。「豊富なカタログを抱えているにも関わらず、この場に及んでまだカールの音楽を聴く機会に恵まれない人が存在するように感じるんだ。このアルバムがそういう状況を変える手助けとなればいいなという思いが込められている」。
もともとは1969年のトム・T.ホールのヒット曲「That's How I Got to Memphis」を7インチのためにカヴァーしたことが事の始まりだった。カールのよく響く歌声とMartineの温かみのあるモダンなアレンジで、クラシック・ヒットに新たな息吹をもたらした。その完成度の高さに感銘を受けたMartineはカールとフル・アルバムの制作を提案し、その結果生まれたのが『イントロデューシング・カール・ブラウ』だ。ジム・ジェームス (マイ・モーニング・ジャケット)、ローラ・ヴェイアーズ、ジョン・ハイド、エリ・ムーア(レイク)、スティーヴ・ムーア(アース、サン O))))らがゲスト参加している今作。収録曲にはトム・T.ホール、ボビー・ボンド、アレン・レイノルズ、ビージーズ、リンク・レイやタウン・ヴァン・ザントなどのカヴァーが名を連ねる。
発売・販売元 提供資料(2016/03/14)
キャリア20年越えにしてこのタイトル! ベラ・ユニオンへ移籍し、改めてましての自己紹介盤は、トムT・ホールやアレン・レイノルズらが書いた70年前後のカントリー・ヒット集に。古巣のKで培ったアヴァン・フォーク作法は隅に置き、原曲に忠実なアレンジを施すことで、どことなくアーサー・ラッセル似の丸っこい歌声がドンと前に立っている。サンO)))やマイ・モーニング・ジャケットの面々も控えめに参加。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.391(2016年5月25日発行号)掲載)