当代が誇るアーティストの邂逅!言わずもがなながら、ジェシ・ハリスは、ノラ・ジョーンズのメガヒット作品『Come away with me』のメイン・メンバーである他、楽曲"Don't Know Why"で年間最優秀楽曲賞を受賞したアーティスト。一躍大ブレイクし、その名を知らしめましたが、ウィリー・ネルソンや、メロディ・ガルドウ、そして最近ではジョン・ゾーンとのコラボレーションでも話題を集めています。
一方、ペトラ・ヘイデンは、ジャズ・ベースのレジェンドでありイコン、チャーリー・ヘイデンの娘で、音楽一家に育ったアーティスト。自身でも、フー・ファイターズやベック、またビル・フリゼールなどとコラボレート。2013年に発表した『Petra Goes To The Movies』では、ほぼ全てをアカペラを歌うという作品で話題を集めました。そんな二人は、2013年秋に、アンソニー・ウィルソンのプロジェクトで決定的な出会いを果たします。ジェシ・ハリスはそこでペトラをゲスト・アーティストとして迎え、のち、ペトラはジェシ・ハリスの作品を聴き、プロデュースをジェシに依頼。この作品につながりました。互いの活動拠点がNY(ジェシ)/カリフォルニア(ペトラ)と離れていたため、2015年の初頭まで一年余り、お互いに作曲や選曲を中心にしていましたが、スタジオに入れば、全てはバッチリ。5,6曲を録音しようという気持ちでいながら、ほぼ一気に作品の全てのトラックを録音出来てしまったのだそうです。
参加メンバーには、ジェシの新作『Star Rover』を支えるWill Graefe、Jeremy Gustin。ペトラと頻繁に共演するGabeNoel。そして、盟友ジョン・ブライオン、そして、アーロン・パークスも参加する豪華ぶり。楽曲は、もちろん2人のオリジナル。ピート・シーガーの名曲"Where Have All the Flowers Gone"(M11)を除いて、全て2人がこの作品のために選び、書き下ろしたもの。二人が共有するアメリカーナ~カントリー・テイストなノスタルジックなムードが全体に流れる中、絶妙にソフィスティケートされた都会的感覚もまとった曲の数々にはフォーキーな温かさとスタイリッシュさが共存。丁寧なアレンジも施されたサウンドには、数々のシングル・カットも出来そうな仕上がりも感じます。特に、"Seemed Like a Good Idea"(M4)や、二人のデュエットを収めた"Either Way"(M3)など、AB 面にピッタシ!!?ピリっとした冬の空気残る、3月、季節的にも絶妙なリリースです。
発売・販売元 提供資料(2016/02/08)
ノラ・ジョーンズの代表曲《Don't Know Why》の作者ジェシー・ハリスとチャーリー・ヘイデンの愛娘ペトラ・ヘイデンによる共作アルバム。副題に~シングス・ジェシー・ハリスとあるように大半がジェシーのペンによるが、姉妹ユニット、ヘイデン・トリプレッツやビル・フリゼールとの共演にも表れるペトラのアメリカーナ志向のセンスも多分にそのソングライティングに影響しているだろう。柔らかく浮遊感のある歌声とフォーキーなアレンジが鮮やかに楽曲を彩り、自然と心も弾む。デュエットの響きも格別だ。ゲスト参加のアーロン・パークスのウーリツァーも花を添えている。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.121(2016年4月10日発行号)掲載)