10 年越のロングセラー『The Tape Music of Noah Creshevsky,1971-1992』からひと回りしてエム再登場!
クレシェフスキーはナディア・ブーランジェとルチアーノ・ベリオに学んだ作曲家で、初期は電子音楽/テープ音楽をやっていたが、徐々に「ハイパーリアリズム(※注:写真等を用いて対象を克明に描写する美術の潮流。「超現実主義」と和訳されるシュルレアリスムとは区別される。スーパーリアリズムともいう)」に接近し、その概念を取り込んだ音楽である「ハイパーリアル・ミュージック」の第一人者となった(一般にはこの音楽スタイルの創始者とされる)。彼のハイパーリアル・ミュージックは、実際の生演奏に聞こえるが全て人工的な操作・配置で創作されたものである。そこでは人間による生楽器や肉声の演奏が素材となり、シンセサイザー(合成音)は用いられない。録音年、ジャンルを異にする楽音がいち作品中で任意に結合され、あるものは人間技では不可能な演奏に変容され、ある音は過剰に強弱・長短のアクセントがつけられる等々、彼の意匠をこらしたドラマ性とユーモアが加味されている。本アルバムは近年の作品を作家が自選したコレクションで、鋭敏なリスナーならば、聞き進めるにつれて姿を現す、狐につままれたような世界に惑わされること必至!
発売・販売元 提供資料(2015/12/16)
ブーランジェとベリオに師事した経歴を持つクレシェフスキ。以前リリースされたテープ音楽集でも聴ける様に、彼はアカデミックな世界とは距離を置いた極めて異質な音楽を作り続けて来た。その音楽は竹村延和を始め著名人にもファンを多く持つ。今回の新作はハイパー・リアリズム(写真などを用いて対象を克明に描写する美術の潮流)の概念を取り入れた近年の作品を自身が選び収録している。生楽器や肉声による演奏を素材とし、年代や文化、ジャンルなどのコンテクストが異なる音同士がパッチワークされている。色濃くとある文化を想起させる音を放り込み異化させるその大胆な手法に驚嘆せずにはいられない。
intoxicate (C)池田敏弘
タワーレコード(vol.117(2015年8月10日発行号)掲載)