テオドール・クルレンツィスのソニー・クラシカル5枚目のアルバムは、何とコパチンスカヤとのチャイコフスキー!鮮烈なストラヴィンスキー「春の祭典」に続く2016年初頭必聴盤の登場です。クルレンツィスは、これまで録音を発表してきたバロックや古典派のみならず、現代音楽まで幅広いレパートリーをカバーし、今年はルール・トリエンナーレの「ラインの黄金」も振っています。オーケストラ曲では、特にチャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなどのロシア音楽を頻繁に取り上げており、2010年に音楽之友社「レコード・アカデミー賞」を受賞し、クルレンツィスの名前を日本の音楽ファンに印象付けたのもショスタコーヴィチの交響曲第14番「死者の歌」でした。クルレンツィスと手兵ムジカエテルナによる新録音はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソロを務めるのは。東ヨーロッパのモルドバ出身のカリスマ美人ヴァイオリニスト、パトリシア・コパチンスカヤ! 10月には極めてユニークな「TAKE TWO ~ヴァイオリンと二人で~」というアルバムを出して話題沸騰中の彼女が、これまた話題の指揮者/オーケストラであるクルレンツィス/ムジカエテルナと組んで名曲中の名曲をついに初録音!2011年にドイツ・ラインガウ音楽祭でフェドセーエフ指揮モスクワ放送響と共演した演奏が放映されて大きな話題を呼びましたが、この組み合わせはそれを大きく上回る反響を呼ぶこと間違いなし。 彼女は現代・近代音楽を中心とした作品の演奏に力を入れる一方で、ファジル・サイとの共演や、ヘレヴェッヘとシャンゼリゼ管弦楽団といピリオド楽器アンサンブルとベートーヴェンの協奏曲を録音するなど、自在な音楽を奏でる多様なベクトルを持つ名手。クルレンツィスおよびムジカエテルナとは最近では2015年8月のブレーメン音楽祭でメンデルスゾーンを共演し、2016年1月にはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でヨーロッパ・ツアーを行なうことになっています。カップリングは「春の祭典」に続くストラヴィンスキー・シリーズで、比較的珍しい「結婚」。「歌と音楽を伴うロシアの舞踊」という副題と打楽器、4台のピアノ、独唱と合唱という特異な編成を持つこの曲の真価を、クルレンツィスが鮮烈なまでにえぐり出しています!
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2015/11/24)
34分の演奏を一気に聴き終わると満足感が身体中にみなぎってくる。2016年早々、音楽史に残るこの素晴らしい奇跡との出会いに感謝の言葉でしか表現できない。圧倒的なのが、やはり何といっても第一楽章のカデンツァ。コパチンスカヤの熱気みなぎる技巧にただ息をのむばかり。彼女が奏でる音色に更なる極みをあたえているのが、日本、そして世界にその名を轟かせている〈クルレンツィス&ムジカエテルナ〉。まさに魂と魂のかけひき。音楽は興奮覚めやらぬまま第三楽章のフィナーレへと一気につき進む。一期一会の演奏だ。なお、ブックレット掲載の二人の想いが詰まった数々の言葉は一読の価値あり!
intoxicate (C)飛田陽海
タワーレコード(vol.120(2016年2月10日発行号)掲載)