名盤・名録音として名高いマリナー&コンセルトヘボウ管の「惑星」。アナログ末期の優秀録音を新規でマスタリング。

今年(2015年)91歳を迎えて尚現役であるマリナー指揮による"伝説の"「惑星」。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団唯一の「惑星」録音であり、尚且つ当時のPHILIPSによるアナログ録音最盛期の優秀録音。その美しい音色とハーモニーを余さず捉えた記念碑的な録音として知られた盤です。今回の復刻ではこれまでのマスターを使用せず、Vintage+plusシリーズのコンセプト通り、オリジナルのマスター・テープから最新のハイビット・ハイサンプリング(192kHz、24bit)音源をCDマスターに使用。従来以上の音質で再発売いたします。1960年代初めにカラヤンがウィーン・フィルとDECCAレーベルに録音した「惑星」が世界的に売れて以来、ボールトを始めとした本国の指揮者以外でもこの曲の録音が増えたのが'70年代でした。PHILIPSレーベルではハイティンクが1970年にロンドン・フィルと録音をしたため、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ではこの盤が現在のところ唯一の録音。当時マリナーはこの「惑星」の他に、エルガーのエニグマと威風堂々を3曲、同時に収録を行いました、恐らくマリナー指揮のイギリス・シリーズとしてアルバム2枚分が制作されたと思われますが、彼らの共演盤はこの時のみで終了しますので、組み合わせとしても貴重な録音です。ここでのマリナーはオケの特筆を引き出すことを生業としているかの如く終始一貫しており、隅々までコンセルヘボウ・サウンドが堪能できる素晴らしいアルバムとなっています。格調の高さがあるのもこの組み合わせならではで、「水星」での木管のやり取りや「木星」での説得力、「土星」でのハーモニーの美しさは絶品。この盤はまさに"調和"を主体とした最高の演奏と言えるでしょう。尚、マリナーはこの録音に先立つ'76年5月に来日し、日本でそれまで馴染みの薄かった「惑星」を振っていたのも懐かしい思い出です(オケは東京フィル)。現在では消滅してしまったPHILIPSレーベル全盛期であり、且つアナログ録音の末期ということでも一期一会の記録です。カップリングにはArgoレーベルで発売されたヴォーン・ウィリアムズの名曲2曲を収録しました。オーケストラは手兵アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズです。

タワーレコード （2015/11/05）