1977年生まれの米シンガー・ソングライター/ギタリスト、ジョン・メイヤーが2003年に発表したセカンド・アルバム。ソウルやヒップホップなど多彩な音楽スタイルからの影響を映し、よりファンキーな作品に。洗練されたメロディー・ライン、等身大の歌詞、スモーキーなヴォーカルで、世界的なヒットを記録。収録曲「ドーターズ」は2005年のグラミー賞"ソング・オブ・ザ・イヤー"を獲得し、後に映画『八日目の蝉』の挿入歌にも使用された。 (C)RS
JMD(2015/10/31)
デビュー・アルバム『Room For Squares』は天井知らずに売れ続けているし、グラミー賞は貰っちゃうわで、人気/実力共に絶好調なジョン君……かと思いきや、本作制作中はずっと失恋の痛手と向き合っていたそうだ。なるほど、浮ついたところのない実直な〈足固め作〉となっている。これなら大出世作のあとに皆が陥る続編スランプのジンクスとも無縁だろう。「エレキ・ギターで温かいサウンドを作りたかった」と本人も言っていたが、前作よりエレキ多用であるにも関わらず、ほんわかと柔らかく包み込んでくれるあたりには苦労の跡が偲ばれる。詩人としてめざすはボブ・ディラン、ギタリストとしてめざすはスティーヴィ・レイ・ヴォーンというのも十分に頷けようが、とにかく彼のスモーキー・ヴォイス、特に裏返っちゃう瞬間なんぞにトキメクってのが素直な聴き方かもしれない。一見変哲なさげで、実はアクの強さが魅力。
bounce (C)村上 ひさし
タワーレコード(2003年10月号掲載 (P80))