エンリコ・ピエランツィが描く美しき地中海物語。
エンリコ・ピエランツィのクラシカルな面が際立つEGEAレーベルの2003年録音の作品。ピアノ、管楽器、ベースのドラムレス編成でジャズというより室内楽を思わせる音楽性ですが、繊細でリリカルなピアノにリード楽器とベースが絶妙に絡んだ美しい響きはとても心地よいです。タイトルは直訳すると新しい地中海の物語という意味。この機会にはるか遠い地中海の世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
(C)渋谷店:山内 慶一郎
タワーレコード(2021/10/22)
EGEA 諸作品の中で、美しい創造力で筆頭の話題作となった名作『Racconti Mediterranei』(SCA078)の続編というべき2003年録音の音源がリリースされる運びとなりました。オリジナルとなった『Racconti Mediterranei』からサウンドのコンセプトは同様の路線。短い数フレーズにあって、エンリコが奏でるイントロは無類の美しさ。その数フレーズが、この作品の音楽的な成熟を感じさせるといっても過言でないものですが、イタリア人としてのエンリコが、その文化の源である地中海を描いたコンポジションは絶品で、筆舌に尽くしがたいドラマがあります。それは、地中海という地の自然や光の投影であり、そこに生きた人々の喜怒哀楽。壮大かつ、繊細、陰影に富んだ曲の数々には、ある種、ブラジル音楽がもつサウダージの感覚にも通じる切なさと喜びがあふれます。リード奏者が、イタリア人のガブリエラ・ミラバッシから、ポール・マッキャンドレスに変わっていますが、もともとオレゴン他で活動するマッキャンドレスには、ある種の無国籍感と世界の各地の音楽につながるものがあり、エンリコのピアノと美しい響きを生み出しています。また、同時に特筆すべきは、M5。このトラックは、マーク・ジョンソンとのデュオによるトラック。マーク・ジョンソンとは、IDAの時代のDuo作、そして同EGEAの『Transnoche』(SCA098)と、どちらも名演ですが、キラー・チューンとも言うべきこの"I sl as"は秀逸です。
発売・販売元 提供資料(2015/10/21)