ギラッド・ヘクセルマン全面トリオでの新作!
デビュー作以来約10年振り
ベースとドラムはもちろん不動のマーチン&ギルモア
ギラッド・ヘクセルマン、デビュー作以来となるギター・トリオ作の登場!
Smalls Recordsから2作品をリリースした後、Harmonia Mundi傘下であるLe Chant du Mondeへ移籍。その後、同じくHarmonia Mundiが新しく立ち上げたJazzVillageに自然移行して、本作は第2作目。2年振りの作品となります。
注目すべきは、全曲ギター・トリオであること、そして、不動のメンバーであるということでしょう。(※2曲/ジェフ・バラード参加)。『Hearts Wide Open』及び『This JustIn』では、どちらもMark Turnerがゲストで参加していましたが、今回は12曲全曲がトリオによる演奏。これは、デビュー作以来のものとなり、実に約10年振りのことになります。そして、本作には、10年の時を経たギタリストのマイルストーンといえるものが記録されました。
透明感と浮遊感が溢れる音色と、牧歌的な雰囲気をもったコンポジション。コード・ワークとソロ・フレーズを重ね合わせ、面としてのハーモニーと線となるフレージングを巧みに織り合わせて行く奏法は、一作ごとにソフィスティケイトされ、確実にアップデイトされていく印象。ジョー・マーチン、そしてマーカス・ギルモアとも演奏を重ねて、"あうんの呼吸"の域に達してきている他、三者で世界を拡張していく様は、正にレギュラー・バンドとしての貫禄でしょう。特に、シンプルなドラム・ソロから、畳みかけるような高速のフレージングと間を活かした演奏で、劇的な展開を見せて行くM3は、ドラムもツイン・ドラムとなった強力トラック。また数々のオリジナルに加えて、バド・パウエルのバップ・ナンバーや、バーデン・パウエルのブラジリアン・ナンバーをフィーチャーしている点なども興味が尽きません。
ポスト・パット・メセニー、ポスト・カート・ローゼンウィンケルという形容がなされる現在、数々のギタリストが群雄割拠する中で頭一つ抜け出た感が濃いギラッド。
ちなみにM10は言わずと知れたパット・メセニーの大名曲。シンセを効果的に使ってオーケストラ的に描いたオリジナルをシンプルにトリオで描いたところも、注目です。
発売・販売元 提供資料(2015/10/27)
イスラエル出身の人気ギタリストの全面トリオでの作品。イスラエルというとアヴィシャイ・コーエン(b)に代表されるように、憂いを帯びた独特のメロディを連想するが、彼が紡ぐメロディーやコード・ワークは、透き通るような美しさと浮遊感に満ちている。不動のメンバーであるジョー・マーチン(b)、マーカス・ギルモア(ds)とのアンサンブルには貫禄すら感じられ、高速なフレージングも、間を活かした演奏も、抜群の安定感で聴かせる。パット・メセニーの名曲《Last Train Home》のシンプルなアレンジも素晴らしい。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.119(2015年12月10日発行号)掲載)