日本で幅広い層の音楽ファンからリスペクトされている人気ギタリスト、ジョン・スコフィールドの新作は90年代初頭にBlue Noteから3作『Meant to Be』『Time on My Hands』『What We Do』のアルバムをリリースしていた時の仲間Joe Lovano(sax)とBill Stewart(ds)と再び組んだimpulse!移籍第一弾作品。
今回、全9曲ジョン・スコによるオリジナル曲で構成された本作はジョンスコのジャズに対する哲学みたいなものも反映されている。音楽の根源にある深い、複雑なルーツの知識も大事だにしながらも、一瞬一瞬自発的に刺激的な演奏を行う。ジョンスコのように幅広いディスコグラフィーを持つアーティストにとってジャズのルーツに戻ることはブルースをチャネリングするようなもの、最後の曲がそれを表現している。
さらに、スコフィールドはウィリアム・フォークナー『尼僧への鎮魂歌』からの引用「過去は絶対に死なない。過去は過ぎてもいないのだ。」で瞑想する。このアルバム・タイトルはとても悲しいテーマも孕んでいる。愛する息子Evanががんとの闘いの末2013年に他界したのだ。「今生きてはいなくとも自分たちにとっては身近に生きていると感じる人っていうのはいるんだ。私の息子Evanのようにね。彼は過去の人だが、今でも僕と一緒にいるんだ。」という。Evanのレガシーをたたえた曲が3曲収録。"Get Proud"Enjoy The Future!"はEvanのキャッチ・フレーズから名づけられた、さらに、"Mr.Puffy"はEvanが化学療法を受けつらいときに励ますためにEvanにつけたニック・ネームというミッド・テンポのバラード。
もちろん大好きなR&B,ニューオリンズ、カントリーの要素も!
発売・販売元 提供資料(2015/08/13)
10年越しのUber Jam第二弾、そしてMSM&Wの新作で90年代後半からのジャムバンドサウンド回帰とも取れるリリースが続いたジョンスコが更に遡って90年代初頭ブルーノート時代のジョー・ロヴァーノ、ビル・スチュワートとベースには新たにブラッド・メルドー作品でお馴染みのラリー・グレナディアを迎え名門インパルスデビュー。全9曲スコフィールドのオリジナルのストレート・アヘッドなファンキー・ジャズはモダンジャズギターの巨匠たる面目躍如の痛快なプレイのオンパレードで"過去"を"現在"へと更新する。このカルテットでの作品をもっと聴いてみたい。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.118(2015年10月10日発行号)掲載)