サー・ポール・マッカートニー提案により実現した夢のカヴァー・アルバム。
2014年5月にポール・マッカートニーからピザレリに届いたのがポールからの「いいアイディアが浮かんだんだ!僕の曲の中でも、ほかの曲と比べてそれほど有名ではない曲をカヴァーしてみないか?もちろん、こんな言い方はちょっとうぬぼれていて押しつけがましいかもしれないけど。いま思いつくのはビートルズ後の‘Love in the Open Air' (1967年の映画『ふたりだけの窓』のサントラ収録)や ‘Junk' ‘Warm and Beautiful'、そして‘My Valentine.'など。」
"My Valentine" はポールが2012年に発表した『Kisses On The Bottom』に収録されたオリジナル曲。30年代40年代の名曲のカヴァーに取り組んだ作品でポールのオリジナルは2曲しか収録されていなかったが、Pizzarelliがギターで参加しグラミー賞でのライヴにもポールと出演。 グレイト・アメリカン・ソングブックを中心にこれまで取り組んできたPizzarelliはジョニ・ミッチェル、ニール・ヤング、トム・ウェイツ、アントニオ・カルロス・ジョビン、レノン-マッカートニーまでレパートリーを広げてきている。マッカートニーはさらに手紙に綴った。「僕が楽しみなのは、あまり知られていない曲をメロウなジャズ・スタイルでやってもらっていい感じにできたらそのアルバムのタイトルを『Midnight McCartney』というものにしたいんだよ。ただ、もちろんこれも全て君の想像をくすぐることができればの話だし、時間を持て余している錯乱した作曲家のとりとめのない手紙です。」もちろんPizzarelliは、すぐくすぐられた。Pizzarelliと彼の妻で共同プロデュースを手掛けたJessica Molaskey、さらにピアニスト Larry Goldingsはすぐに45年以上にわたるポールのキャリアの作品を掘り起こす作業に取りかかり、Pizzarelliの得意のスタイルとはーもなイズするような曲を探した。「僕はすぐに 'Warm and Beautiful' 'Junk'を、Larry Goldingsは 'Waterfalls'を、僕の妻は 'Heart of the Country'を見つけたよ。これらの曲はポールの言うように素晴らしかったよ。彼はもちろんみんなが知っているようにロックンローラーだけど、そんなイメージをすぐに取り払うような曲ばかりだったんだ。」とピザレリ。「1996年にビートルズのアルバム『Meets the Beatles』に取り組んだとき、リハーモナイズもできるし、いい感じのハーモニーでいてかつクレイジーでないハーモニーを見つけるのがとても楽しいことに気付いたよ。」
心地よいアレンジで忘れていた名曲たちが見事に蘇ってます!
発売・販売元 提供資料(2015/08/13)
このプロジェクトはなんとポール本人の提案で実現したとか。アルバム・タイトルでわかるとおり、ジョン・ピザレリのポール・マッカートニー・カヴァー集。ビートルズ時代の楽曲を除いた、ポールのソロやウィングス時代の名曲を選曲。ボッサ仕立ての《心のラヴ・ソング》、ゴージャスなストリングスが美しい《マイ・ラヴ》、マイケル・マクドナルドをフィーチュアしたスインギーな《カミング・アップ》など、お馴染みのナンバーがピザレリ流にギターもフィーチュアされ、ジャジーで小粋に。ほぼ全曲のアレンジをピザレリ本人が担当し、オーケストレーションにはドン・セベスキーという豪華さも魅力。
intoxicate (C)馬場雅之
タワーレコード(vol.118(2015年10月10日発行号)掲載)