ヘザード・パールスはポーランド出身で、デトロイト郊外で育ち、現在はブルックリンを拠点に活動しているヤコブ・アレキサンダーによるプロジェクトである。彼はシゲトやナイトムーヴスも輩出した優良デジタル・レーベル〈Moodgadget〉の運営者のひとりであり、Ghostly InternationalのA&Rとしても活動している他、ティコことスコット・ハンセンのブログ、ISO50のキュレイターであり、かつてはマネージャーもつとめていた、現代エレクトロニック・ミュージック・シーンのキーマンである。
ガスや初期Dial Records、2000年代のMille Plateauxのリリースなどがルーツであり、!K7のクラシックであるオーディオヴィジュアル・ミックス・シリーズ、X-Mix そしてearly- aughts テクノ・コンピレーションにインスパイアされたという彼。
本作『Body Complex』はアルバムとしては2012年の『Loyal』以来となるセカンド作。流麗かつディープなアンビエント・テクノ・サウンド。ミニマルにビルドアップしていくビートとエレクトニックなテクスチャー、ほのかに漂うアブストラクト・メロディと浮遊感んが絶妙なバランスで相俟って展開していく。
ミックス・マスタリングも手掛けたサイト・ビロウがフィーチャーされた「Personal Kiosk」ではシューゲイズ的なドリーミーな展開をみせ、盟友シゲトがフィーチャーされた「Abandoned Mall Utopia」ではパーカシヴ且つドープなミニマルを、ビーコンの女性シンガー、アウターブリッジ(a.k.a. Thomas Mullarney III)をフィーチャーした「Warm Air Estate」では、彼女の幽玄なヴォーカルを漂わせ、アトモスフェリックに疾走していくなど、ゲスト参加した面々が良きアクセントとなっており、ヴァリエーション豊かな作品に仕上がっている。アートワークももちろんヤコブ本人が手掛けている。
発売・販売元 提供資料(2015/08/12)
ゴーストリーのA&Rや、いまやすっかりその看板の一人となったティコのマネージャーを務めるなど凄腕の裏方としての活動が長かったヤクブ・アレクサンダーのソロ・プロジェクト。エレクトロニカ黄金期を思わせるクリアな音色をディープな深海イズムを感じさせる群青色のアンビエント・テクノに落とし込んだ滋養満点&超メロウな音響空間は、頭で聴かず身体ごと感じていたい心地良さ! ヤギャやガス好きなら絶対ツボ!
bounce (C)佐藤大作
タワーレコード(vol.382(2015年8月25日発行号)掲載)