ベテラン、サミー・フィギュロア ―クロスオーバーな一枚
マイルス・デイヴィス、ソニー・ロリンズといったジャズ界の大巨匠から、ブレッカー・ブラザース、マライア・キャリーや、デイヴィッド・ボウイまで、幅広いアーティストから信頼されるパーカッショニスト、サミー・フィギュロアの作品。
基本的には、アフロ・ラテン・ジャズの文脈にしっかり根ざした一枚。しかし数々のキャリアを積んだフィギュロアの音楽は、クロスオーバーな感覚が特長!
フィギュロア自身、ラテン・ジャズが陥りがちな<演奏のスピードやハイノートを競うような技術を見せるショー的な派手な演奏>に疲れていたとのこと。そして、一演奏家に留まらず、バンド・リーダーとなったフィギュロアは、"音楽とは、華やかであるだけではなく、表現豊かであるべき"と語り、メンバーには、詩的で何かフレッシュなものとしたい"とも語ったとのこと。そして、その理想を形にしたのが本作といえます。
躍動するリズム、鮮やかなメロディと共に、オープニングは、ブレッカー・ブラザースを彷彿とさせるファンクな要素が混じったフィーリング。かと思うと、チック・コリアやミッシェル・カミロあたりと繋がるラテン・フュージョン感覚があったり、かつて共演したスティーヴ・グロスマンがフィーチャーされたストーン・アライアンス辺りと繋がるサウンドあり・・・その音楽には、実にいろいろなものが詰まっています。
過去2枚の作品でグラミー賞にもノミネートされたフィギュロアですが、<<これまでで最高の作品>>と自身が語った作品!です。
発売・販売元 提供資料(2023/06/21)
ブレッカー・ブラザーズマナーが聴こえるラテンジャズ。といえば分かって頂けそうなヴェテラン・パーカッショニスト、サミー・フィゲロアの新作。アルバムに収録した作品の大半がピアニストとベーシストのオリジナルで、ピアニストはランディー・ブレッカーのバンドでも演奏していたシルヴィアーノ・モナステリアだからそんな味がするのだろう。モンゴ・サンタマリアのレパートリーで締めくくるあたりも込みで、ミディアムで揺れる落ち着いたラテン・フュージョン具合が好きなら是非買いです。あ、サミーはマイルス・デイビスのグループで日本に来てるんですよ。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.118(2015年10月10日発行号)掲載)