闘病から再び復活! ゲイリー・ベルサーチを迎えた新バンド
ファンク、ゴスペル、オルタナ・ロック・・この多彩さがアンダーソン
数々の苦難を乗り越えた強さが生むユーモア感、スピリッツは健在
現代において、最も多才なトロンボーン奏者であるレイ・アンダーソンの2012年以来の作品。
その2012年リリースの作品『Sweet Chicago Suite』は、90年代に破竹の勢いを見せたPocket Brass Bandの復活作。シカゴ出身の奏者らしい、またレイ・アンダーソンらしい、気骨溢れる、またシニカル、コミカルな演奏を見せてくれ、ファンを喜ばせてくれたものでしたが、その後、レイ・アンダーソンは妻を亡くし、本人も咽頭癌を患い、闘病生活を送ったとのことです。元々、若くして糖尿病を患い、80年代には顔面の半面がマヒするという病になり2010年にも再発。しかし、再びのカムバックです。
それにしても、試練という言葉も生易しくなるほどの困難と闘ってきた人生。しかし、そんな人生あってだからでしょうか? レイ・アンダーソンの音楽には、シリアスでありながら、ユーモア感覚もあり、どこか突き抜けた強さがあるのを感じます。実際、アンダーソンは"音楽とは、自分にとって食べ物のようなもの。決して経済的な意味だけでなく、自分を養ってくれるものだ"と甲高く笑ったとのことですが、その言葉の通り、アンダーソンにとって音楽は人生そのもので、音楽にはそんな、生きてきたすべてが詰まっているのでしょう。
そして、そんなアンダーソンの新作が、12歳の時に出会ったジミー・スミスの作品からの影響を形にしたものというのですから、また興味深いです。アルバム『Back at the Chicken Shack』によってハモンド・オルガンに魅せられてから、34年の時を経た98年にようやくアミナ・クローディン・マイヤーズをフィーチュアしたバンドを実現したものの、またブランク長く17年の時が経過。しかし、アンダーソン自ら、今こそ、と思って本作の制作と相成りました。
オルガンには、ジョン・ホーレンベックや、マリア・シュナイダーといった気鋭のビッグバンドでも大活躍するゲイリー・ヴェルサーチ。ギターにはベテラン、スティーヴ・サレルノ、そしてドラマーにはジミー・スミスの実の甥であるトミー・キャンベル。
ゴスペルやマーチング・バンド的なトラッドな所から、エレクトロ、ファンク、アヴァンなサウンドまで自由自在。5曲目では、自らのヴォーカルもフィーチュアしてのオルタナ・ロックなサウンドあり。年齢と病による体力的な問題もある一方で、気骨溢れるスピリットは変わりようもありません!
発売・販売元 提供資料(2023/06/21)