5月に開催した初の主催フェス『人間交差点』を大盛況のうちに終えたRHYMESTERが、その熱狂の余韻も冷めやらぬなかビクターエンタテインメント移籍第一弾アルバム『Bitter, Sweet & Beautiful』をリリースする。キャリア通算10枚目の記念碑的アルバムでもある今回の新作、過去最長の制作期間を経て3人が辿り着いたテーマはずばり〈美しく生きること〉。なにが正しいのかを見つけることすら困難なこの時代をどう生きていくか、その命題に正面から向き合いアルバム一枚かけて答えを導き出していくコンセプチュアルな内容は、さながら壮大なヒップホップシンフォニーといったところ。また、プロデューサーにはジャパニーズヒップホップ新世代の旗手PUNPEEを軸に、意外にもこれが初の楽曲提供となるKREVA、いまやグループのプロダクションパートナーとして盤石のコンビネーションを築き上げた感のあるBACHLOGICらを起用。国内外のアーバンミュージックのトレンドを咀嚼したしなやかなメロウネスが、甘くほろ苦い人生賛歌の数々にぐっと深い陰影を与える。 (C)RS
JMD(2015/07/04)
マチュアな雰囲気を深めたレーベル移籍第1弾。〈美しく生きること〉というテーマは、閉塞感のなかで〈正しさ〉の形を問うた前々作『POP LIFE』の延長線上にある印象で、復活後の快進撃を駆ったエモい表現からは挑戦的に距離を置いたフシもある。ゆえに、ある種の稚気を持ち込む役割としてPUNPEEが5曲に起用されているのも納得だろう。ドラマ性と美意識を掌るSWING-Oやモカキリの振る舞いも素晴らしい。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.381(2015年7月25日発行号)掲載)