オーストラリア・メルボルンを拠点とするフューチャー・ソウル・カルテット"ハイエイタス・カイヨーテ"。
2011年にベースのポール・ベンダーが当時ソロ・シンガーだった紅一点ナイ・パームのパフォーマンスに感銘を受けたことでミュージシャン仲間を集めて結成され、アルバム『TawkTomahawk』を2013年にリリース。このデビュー・アルバムから収録曲「Nakamarra」が2014年グラミー賞最優秀R&Bパフォーマンス賞にノミネートされ、それまではエリカ・バドゥ、ジャイルズ・ピーターソン、クエストラヴといった音楽セレブや早耳リスナーにとっての寵児的存在だった彼等が、一気に知名度を上げた。ファレルやプリンスも彼等のファンを自称するほど。また個性あふれるボーカリスト ナイ・パームは、テイラー・マクファーリンのアルバム『Early Riser』収録曲の「The Antidote」にフィーチャリング・ヴォーカルとして参加している等、今最先端を行くジャズ・アーティスト達からの注目も熱い。ナイ・パームの自由でしなやかなパフォーマンスを支える他4人のメンバーも、それぞれが輝かしい経歴を持つ凄腕ぞろい。今作は結成から4年の時を経て、幾多のセッションを共にしてきたバンドならではのグルーヴが貫かれており、バンドが実現したかった世界観が今作で一気に開花したかのようだ。変拍子や変則的なコードがジャム・バンドならではの緊張感を生む中で、ローズ・ピアノの美しいメロディがサウンドを洗練させ、のびやかでオーガニックなヴォーカルがリスナーの心に沁みわたる。複雑そうでいて、初めて見る生き物を眺める時のような発見、感嘆、喜びに満ちたサウンドが繰り広げられる。ソウル、R&B、ジャズ、フュージョン・・・いずれのジャンルにも収まらない型破りさは大きな魅力。しかし音楽好きなら誰もが虜になってしまう超絶テクニックとミュージシャン・シップにノックアウトされてしまう一枚。必聴です!
発売・販売元 提供資料(2015/03/30)
Clash (Magazine) - "Time signatures skip and dance between chorus and verse, instruments overlap harmoniously and Nai Palm's vocals are a constant source of measured acrobatics atop it all."
Rovi
エリカ・バドゥやジャイルズ・ピーターソンらのお墨付きを得た豪州産クァルテットによる2年ぶりの2作目。便宜上ネオ・ソウルや新世代ジャズとタグ付けできるものの、しなやかに跳ね回る紅一点ナイ・パームの歌声は、そんな括りなど我関せずとばかりに自由に飛翔していく。フライング・ロータスあたりと共鳴したような"By Fire"のコズミック感をはじめ、ビデオゲームの魅力を曲にしたという緩急めまぐるしい"Atari"、J・ディラ以降の訛るビートで泥臭いファンクとジャズを展開する"Swanp Thing"などなど、さまざまなアイデアとそれを実現させるバックの技巧も凄まじい。合間に聴かせる幻想的で幽玄なインスト小品たちもアルバムの極彩色ぶりを引き立てる全18曲。真にオリジナルなバンドだ。
bounce (C)池谷昌之
タワーレコード(vol.379(2015年5月25日発行号)掲載)