2010年デビュー・アルバム『HANDMADE』でシーンに登場し、デビュー・シングル「Beautiful Tango」でその歌と踊りで人々の心を魅了した、エキゾチックな美貌の歌姫、HINDI ZAHRA(インディ・ザーラ)。 フランスを中心に15万枚のアルバム・セールスを記録し、400回ものライヴを行ってきた彼女の、約5年振りとなるニュー・アルバムが発売となる。
タイトルの『HOMELAND』が表すように、本作は、インディが、自らのルーツとなるモロッコに戻り、その土地と音楽からインスピレーションを受けた作品である。デビュー・アルバムのツアーで2年半もの間、世界を旅し続けた彼女は、1年ほどモロッコのマラケシュで暮らそうと決めた。古い町並みが残る場所にあるリアド(モロッコ様式の邸宅)に腰を落ち着け、外部から遮断された空間で休息をとり、自分の音楽を探求することにした。
その中で彼女は、モロッコのエッサウィラ出身のパーカッショニスト、ラニ・クリジャとともに、いろいろなリズムを試し、実験することにした。ラニはバンに様々な打楽器を付け込んでやって来て、二人はリアドのパティオにそれらを広げ、ありとあらゆる試み――モロッコのパーカッションでキューバのリズムを演奏したり、インドの楽器でモロッコのリズムを試したり――してみたという。
また音楽を探求する一方で、彼女はモロッコ各地を旅し、また『The Narrow Frame Of Midnight』、『La Blessure』の2本の映画にも出演を果たす。故郷モロッコでの音楽を探求、また旅や映画出演といった経験、そしてミリアム・マケバ、セザリア・エヴォラ、マーヴィン・ゲイやニーナ・シモンなどの音楽影響を自分の中に取り込み、インディはニュー・アルバム『HOMELAND』への道筋を作り上げていき、最終的には、パリでレコーディングを終えたのだった。
そうやって完成した『HOMELAND』は、まるで聴くものをインディの旅日記のページをめくっているような気分にさせる。波のように引いたり押し寄せてくる歌や、様々な音楽スタイル、そして太陽のような温かさと潮騒、そして宇宙の音までもが融けあい、混じり合い、うねっては揺れるアルバムのテンポを作り出していく。インディの声は、メランコリックでありながら、高揚するような陶酔感もあり、世界中の人々の心を捉えて離さない。
そんなインディが本作『HOMELAND』で目指すのは、聴くものの心と身体を、その奥底から優しく揺さぶり解放する、ジャジーでプログレッシヴな、ワールド・ソウル・ミュージックなのだ。
発売・販売元 提供資料(2015/03/30)
ホセ・ジェイムズのブルー・ノート移籍盤にも参加していた旅する歌姫が、故郷モロッコへ戻って完成させた5年ぶりのニュー・アルバムだ。同郷のパーカッショニスト、ラニ・クリジャの手を借りて多彩なリズムにアプローチ。異国情緒と昂揚感を湛えたバック演奏に、艶と哀愁のある主役のヴォーカルが混ざり、魅了されずにいられない。リズムと声との奇跡的な溶け合いから、彼の地の匂いや温度も伝わる傑作。
bounce (C)内本順一
タワーレコード(vol.379(2015年5月25日発行号)掲載)