| フォーマット | CDアルバム |
| 発売日 | 2020年06月29日 |
| 国内/輸入 | 輸入 |
| レーベル | Ligia Digital |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| 規格品番 | LIDI0103287 |
| SKU | 3487549902878 |
構成数 : 1枚
合計収録時間 : 01:09:00

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音楽のことなどよく知らなかったあの頃は、「この曲のここが好き」という程度で西洋古典音楽を聴いていたので、アルカンの魅力などわからなかった。ショパンやリストとの交流と、演奏不可能なほど技巧的難易度が高いと謂われている点が、印象に残っただけだった。
それから30数年経ち、再々度聴いてみることにした。グノーの祥月命日の前日に聴いたPeter Vanhove『グノーとフランスの作曲家たち』の演奏が心に響き、〈過ぎ去りし時 Op.31-12〉という題名にも心惹かれたからだ。
そして、もっとアルカンの個性が分かるように、まとまった録音が聴いてみたくて探し、本アルバムを選んだ。Laurent Martin氏が、夫が赴任中で、私も一年間帯同し、実父の同僚が長く教鞭を執った大学の所在地でもある、リヨン出身のピアニストだったからだ。聴いていて、郷愁まで覚えた。
本品が届いた日は10月20日、Martin氏が師事したPierre Sancan氏の祥月命日だった。
よく「心が震える」という表現を目にするが、実のところ、どんな感動を指すのか私にはわからなかった。マルタン氏のアルカン演奏は、大きな揺さぶりでなく、微細な煌めきで心を動かし、心の杯が満ち溢れるのである。大味とは無縁、フランスのピアニズムの体現者のひとり。確かなソノリティと、曲の核心を精確に把握すると、こんなにも聴き手の心に響くのかと驚嘆する。アルカンは、「女嫌い」と書き残している割には、非常にmoelleuxなのだ。楽譜からここまで弾き出せるのかと敬服する。
アルカンを聴くなら、この一枚からとお薦めする。
Charles-Valentin Alkanの誕生日(1813年11月30日)に。