●1st STORY「ヴァージンロード」30代監督×40代父×20代娘
ある日結婚が決まった娘(桜木梨奈)が戸籍を取りに行ったらそこには『養女』との記載が・・。母(咲羽靖子)には言えなかった理由が・・。今まで何も知らずに育った娘と実の娘と思って育てていた養父(松田ジロウ)。娘の仕事先には、実の娘に会えない初老の男(針原滋)がいた。実の父を知らない娘と、実の娘に会えない男と、義理の娘を育て上げた養父の他人同士の心の交流。「家族とは?血のつながりとは・・・」を静かに問いかける。そして娘の職業が「介護」であることの意味を観客に投げかける。

●2nd STORY「俺の屍を越えてゆけ」40代監督×30代父×30代息子
結婚報告のため実家に婚約者(植田ゆう希)を伴い帰る息子(尾関伸嗣)。母(黒田福美)は息子を女手ひとつで愛情深く育てた。だが息子は5歳の時に家族を残して亡くなった父の事を未だに恨んでいる。父の愛を知らずに育った息子と幽霊となり現れる父(水野直)。男同士、どう向き合うのか? なぜ父は化けて出てきたのか? 父の真の意図は? 父の愛はどうやったら子供に伝わるのだろう?! クスッと笑えてホロリと泣ける・・・。だが、現代の、親の子供に対する教育問題をも、観客に投げかけた意味深い作品である。

●3rd STORY「手を伸ばせば」50代監督×50代父×20・30代息子&30代娘&娘婿
製陶所を家族で営み、細々と寡黙に家族の為に頑張り3人の子供を育て上げた父(花ヶ前浩一)。その父の目が突然見えなくなってしまった! 家の中ですら母(仙頭美和子)の介助がなければ何も出来ない・・・。会社を経営している長男(檜尾健太)、結婚して初めての子供を宿す長女(正木佐和)、長女の夫(松原正隆)。そして父親とケンカして家を飛び出した次男(青柳尊哉)。それぞれの事情を抱えた家族会議が始まる。血のつながった親子でも成人した子供たちには自分の生活がある。どの家庭にも起こりうる「介護」の問題を浮き彫りにしている。黙して語ることが少ない「父の幸せの実感」は現実の父たちにあるのだろうか? と静かに観客に問いかける・・・。