1965年生まれで、2015年50歳。名実ともにベテランの域に達したジョーイ・カルデラッツォのトリオ作が登場!
87年、若くして、マイケル・ブレッカーのグループに大抜擢され、90年代初めにはブルーノートと契約し、3枚のリーダー作をリリース。亡きケニー・カークランドの後を継いで今に至るまで、ブランフォード・マルサリス・グループのレギュラー・ピアニストとして活躍。それらの経歴は何よりの実力の証拠でしょう。
今回は、待望のスタジオ録音を核とした作品。2013年春にリリースされた『Live』も久しぶりのトリオ・フォーマットの作品として話題になりましたが、2000年にColumbiaからリリースされたその名も『Joey Calderazzo』に鮮烈な感動を受けたファンにとって、実に15年振りのスタジオ録音によるトリオ作は、正に待望のものといえましょう。
カルデラッツォのトリオの魅力といえば、コンテンポラリーでスタイリッシュなメロディ感覚が息づくアンサンブルと、切れ味の鋭いパッション溢れるソロ展開。その理想形を核としたカルデラッツォは、スタジオ録音ならではの魅力を活かし、今回、あえて、全体的なムードやヴァイブレーションをスケッチして本作を創り上げていったのだとか。しかし、それは、堅固な構築とは一線を画すものといえます。インプロヴィゼーションや、トリオのインター・プレイに完全フォーカスするために、アレンジを施し、ギリギリのバランス感覚によるスリルと美しさを追究。そのため、本作は、どの曲にもヴィヴィッドなトリオの躍動感と、メロディの美しさ、ソロの面白さが息づきます。
それはオクターブ12音のヴァリエーションを活かしたオープニングから全開!黙想的なムードも漂わせるイントロを聴かせつつ、モーダルなフレージングが踊り、火花を散らすようなフレージングが飛翔するソロのコントラストの鮮やかさ!この演奏こそ、カルデラッツォの真骨頂!ファンの待ち望んだトリオ・サウンドといえましょう。一方、スタンダードの演奏も白眉。名スタンダード<All ofme.>をリハーモナイズすることによって、まったく違った楽曲に変身させたM3あり、楽曲の世界を最大限に活かしたロマンティシズム溢れるM4のような演奏あり。また2000年の『Joey Calderazzo』でも取り上げたエヴァンスの名演でも知られるM7も期待を裏切りません!
一本、筋の通った、しなやかで芯のあるタッチはもちろん健在。かつ、詩的なフレージングと、透明感を感じさせるハーモニーの響きも正にカルデラッツォならではで、ピアニストとしてのセンスのよさも抜群。
実は、丸の内/コットンクラブで録音されたM8(マイケル・ブレッカー追悼!)のような隠れたライブ・ナンバーも織り込みつつ、マイケルを筆頭に、惜しくも生涯を閉じた先人への、心からの気持ち、感謝を捧げた、究極のラスト・バラードまで、全9曲聴かせきります。
発売・販売元 提供資料(2015/01/23)