9月27日、中田翔は札幌ドームでサヨナラホームランを放った。27号ソロ=100打点目。球場は中田コールで沸いた・・・。2014シーズン、中田は文字通りファンの期待に応えるファイターズの「4番打者」となった。2008年に鳴り物入りで北海道日本ハムファイターズに入団した「大物」はプロ7年目にして初めて「打点王」という勲章を手にいれた。ここに至る道のりは中田自身が想像した以上に険しいものだった。プロ1年目は一軍出場なし。2009年にようやく1軍に上がり、5月23日に初打席、初ヒット。しかし長距離バッターの資質は長く目覚めることがなかった。その後も期待に応えられない場面を数多く経験した。そして2010年7月20日。マリーンズ戦。5回裏。プロ入り3年目にして初めてホームランを放つ。この時から中田が突然、目覚める。この後1か月で9本塁打。パ・リーグのあらゆるエースの球をスタンドに打ち込んだ。このホームランの固め打ちをきっかけにファイターズの将来を背負うスラッガーとしての道を歩みはじめた。早くから天才的な素質を認められながら、なかなか実力を発揮できなかった「平成の怪物」が、多くの指導者、輝かしいキャリアを持つ先輩らに引っ張られるようにして「本物」のスター選手になり打点王の勲章を手に入れるまでを、2014年シーズンを中心に振り返る。