ミシガン州デトロイトを拠点に活動するブランドン・ウィリアムズは、ソウル、ジャズ、ゴスペル、ヒップホップの有名アーティストの作品にプロデュース、アレンジ、演奏、リミックス等で関わり、グラミー賞をはじめとする数々のアワードで栄誉を受けてきた。そのブランドンが持ち前のマルチな才能を発揮し、ジャズ~ネオ・ソウルのフィールドから豪華ゲスト/演奏陣を招いて作り上げたのが、初のリーダー作『XII』(2014年)だ。ロバート・グラスパー一派を含む新旧ジャズの名手や、フランク・マッコムに代表されるインディ系ネオ・ソウルのシンガーが集い、地元デトロイトの腕利きミュージシャンなどがバックを支えたアルバムは、ブランドンの師匠にあたるマイケル・J・パウエルから故J・ディラまでのデトロイト・アーバン・サウンドを繋いだような、アダルトでヒップなミュージカル・ジャーニー。子供向けTV番組「セサミストリート」のアニメ・ソングで幕を開け、ジョージ・デュークやジョー・サンプル、ウェルドン・アーヴァイン、クインシー・ジョーンズといったジャズ/フュージョンの先達(故人含む)への愛を示しながらエレガントでメロウな楽曲を繰り広げる。ロバート・グラスパー・エクスペリメント『Black Radio』にも通じるマナーで迫るこのジャズR&Bアルバムは、ジャンルの壁を越えて幅広いリスナーを虜にすることだろう。
発売・販売元 提供資料(2015/01/19)
デトロイトのプロデューサーによる初作。ロバート・グラスパー『Black Radio』のデトロイト版をめざした内容で、そのグラスパーのピアノが艶やかに鳴るスロウや、ニコラス・ペイトンがトランペットを吹いた穏やかなブラジル風味の曲が聴きもの。ただ本作の肝はそんなわかりやすいゲスト陣ではなく、かの地伝統のソウルに軸足を置きながら、広い視野でR&B、ヒップホップ、ジャズを繋ぐ試みだ。バーナード・ライトや故ドン・ブラックマンらの伝説たち、アンプ・フィドラーやフランク・マッコムなどの実力派、アーニー・アイズレーの娘アレックスら新世代の担い手……これらすべてが、ブランドンによるジャジー・ソウルを共に紡いでいく美しい光景は、新たな、ではなく連綿と続いているソウルの地平を示す。大作。
bounce (C)池谷昌之
タワーレコード(vol.376(2015年2月25日発行号)掲載)