Robert Glasperにとって自分の音楽パーソナリティを選んでその道を突き進むのは簡単なことなのだが、この作品は音楽パーソナリティを一つに絞っていないというところが素晴らしい2009年録音作品。
半分はアコースティック・トリオ(Chris Dave:ds+ Vincente Archer:b)での演奏、そして半分はhip-hop/R&BオリエンテッドなRobert Glasper Experimentに変わりファンキーな演奏を見せる。
そもそも本作のアルバム・タイトルは、最初のTerrence Blachardのヴォイス・メールで「ロバート・グラスパーが同じ晩に異なるクラブで異なるバンドでのライヴをダブル・ブッキングしてしまったのでは?」というメッセージの通りの設定というのがまたウィットに富んでいてその後トリオで1曲目のイージー・フロウなジャム"No Worries"につながるのも粋だ。Glasperのリリシズム溢れる演奏は複雑なラインにおいても見事だし、ArcherとDaveはサポート・プレイヤーとしてのみならずクリエイティヴでリーダーを超えたダイアログも展開。 "Yes I'm Country (And That's OK)" ではMonkの "Think of One,"や Ahmad Jamalの "Swahililand" (hip-hopファンにはDe La Soulの "Stakes Is High"として)の引用なども。もう半分の Experiment面ではMos Defの"4eva" やHerbie Hancockの "Butterfly." などの影響も。Casey Benjaminがサックスとヴォコーダーで, Derrick Hodgeがベースで,トリオ同様Chris Daveがドラムスで参加。グラスパーの演奏は全編カッコいい。
発売・販売元 提供資料(2014/12/08)
フライング・ロータスとのライヴ共演も話題を呼んだ、いまもっとも注目される気鋭のピアニストが2年ぶりにニュー・アルバムをリリース。繊細で美しいプレイが堪能できるアコースティックな〈ピアノ・トリオ〉編成と、ブルックリン録音によるヒップホップを基調とした〈エクスペリメント〉編成という2部構成にすることで、彼の二面性を端的に表現した一枚に仕上がっている。もっとも、その両面はそれぞれ独立しながらも、美しいメロディーやアンビエントなムード、ブラック・ミュージック特有のグルーヴといった共通点を持ち、それらが作品に深みを与えると共に彼のオリジナリティーも浮き彫りに。黒い音が好きなら迷わず聴くべし。モス・デフとビラルも参加してます。
bounce (C)藤井大樹
タワーレコード(vol.313(2009年08月25日発行号)掲載)
ジャズとヒップホップ、二つのフィールドで新たな伝説を刻もうとしているピアニスト、ロバート・グラスパーによるニューアルバム! 前半はアコースティックなピアノトリオでの演奏、後半はモス・デフをフィーチャーしたトラックで幕を開けます、エレクトリカルなバンド、Robert Glasper Experiment。2つのバンドで一つの作品に見事に仕上げていることこそが彼の真髄。素晴らしいテクニックとジャンルにとらわれる事なく磨かれたセンスが生み出した、美しくも刺激的な最先端NYスタイル・ミュージック。なんちゅうかっこよさ!
intoxicate (C)谷本真悟
タワーレコード(vol.81(2009年08月20日発行号)掲載)