ジェイ・Zが主宰するレーベル"ロック・ネイション"第1弾アーティストであり、MCでありながらプロダクション・ワークをもこなす"ヒップホップ界の知性派風雲児"こと、J.コールのアルバム。 (C)RS
JMD(2014/12/10)
"ジェイ.Zの秘蔵っ子"という呼び名さえもはや不要な若きレジェンド、J.コール。'11年"コール・ワールド:ザ・サイドラインストーリー"ではジェイ.Z率いるロック・ネイションの記念すべき第一弾アーティストとして衝撃の全米1位デビューを果たし、続く'14年"ボーン・シナ―"では、当時同じくニュー・アルバムをの発売を予定していたあの天才カニエ・ウエストに対し、ツイッターで突如「カニエ・ウェストは僕たちの世代の最も尊敬すべき素晴らしいアーティストの一人だ」と意味深な発言をすると、「それこそがアルバムのリリースを早めた理由だ」と続け、高らかに下剋上バトルを宣言。ヒップホップファンは勿論、世界の音楽メディアを湧き立たせるという離れ業をやってのけた正に"知性派風雲児"。ここ最近も異色作"Be Free"をリリースしたと思えばあのマル―ン5のリミックスをやってのける等、その風雲児ぶりに磨きをかけており、情報をその発売日まで一切シャットダウンし続けるアルバムにも期待が高まっていた。
ソニー
発売・販売元 提供資料(2014/12/09)
全米だけで70万枚超のセールスを記録した『Born Sinner』から1年半ぶり、J・コール乾坤一擲の3作目。告知からリリースまでに要した期間は3週間足らず、先行シングルもデラックス盤もなければゲストも一切ナシというセオリーをことごとく無視したアプローチを採りながら、結果的に2014年のヒップホップ作品最高の初動(約37万1,000枚)をマークする堂々たる成果を導き出した。自身のホームタウンの名をアルバム・タイトルに冠した自叙伝的内容、そして意表を突くネタ使い(冒頭の“January 28th”ではハイ・ファイ・セット“スカイレストラン”をサンプリング!)を交えたプロデューサーとしての成熟ぶりも含め、紛うことなきキャリア最高傑作。好敵手のケンドリック・ラマーと真の意味で肩を並べた感もある。
bounce (C)高橋芳朗
タワーレコード(vol.375(2015年1月25日発行号)掲載)