パット・メセニー・ユニティ・グループでも活躍する人気サックス奏者Chris PotterのプロジェクトUnderground Orchestraの第1作目。
これまで長く活動していたUnderground Quartetのdam Rogers, Craig Taborn and Nate Smithを中心にさらに2人のベーシスト、ストリング・カルテット、さらにポッターがDave Holland Quintet在籍時の古い同僚でvibesとmarimbaを担当するSteve Nelsonを迎え大きなアンサンブルを結成、その記念すべき第1作目。
アルバム・タイトルとなっている曲は全体像を見ることのできる一つの組曲となっていて “Compassion”, “Dualities”, “Disintegration” “Rebuilding”と副題のついた楽章から成る。この作品の幅の広さ,様々なムードやテーマ別の展開はポッターの最高の演奏を引き出している。彼のサックスは自身が描いていた景色をはるかに超えて才能あふれるメンバーと対話、及びインプロヴィゼーションを始めるのだ。さらにほかの4曲 “Lament”, “Firefly”, “Sky” ”Shadow Self”は組曲のフィーリングを広げてくれ、キッチリ書かれた部分とオープンで自由な部分をうまい具合にオーケストラ全員の演奏でつなげている。引用はマルチイディオマティックでマルチカルチュアル。Potterが最も熱狂したのはCharlie Parker with Stringsということだが、ArabicとIndianストリングスの入ったコンテンポラリーなコンポジションを想定して作ったとのこと。
発売・販売元 提供資料(2014/12/01)
ジョシュア・レッドマン、エリック・アレキサンダー、マーク・ターナーら、90年代にほぼ時を同じくしてシーンに登場したサックス奏者が自身のソロ活動に重きを置くなか、唯一幅広い共演者達からファースト・コールを受け、近年はパット・メセニー、ハービー・ハンコックらとの共演をはじめ、サイドメンとしても年中フル稼働な現役最多忙なサックス奏者クリス・ポッター。超多忙な彼もまた10年余り率いる自身のソロ・プロジェクト、アンダーグラウンド名義でも精力的に活動中で今作は弦楽四重奏を迎えた拡大版。ストリングスの生み出す音響と年々凄みを増す管豪ぶりに聴き惚れる充実の一枚。
intoxicate (C)稲田利之
タワーレコード(vol.114(2015年2月10日発行号)掲載)