ロック・シーンにおける孤高のレジェンドにして、今なお精力的な活動を続けるカリスマ、ニール・ヤング。2014年1月にリリースしたライヴ・アルバム『LIVE AT THE CELLAR DOOR』、そして6月にリリースした『A LETTER HOME』に続く、本年3作目のリリースが届けられた。
純粋なオリジナル・スタジオ作としては、2012年の『PSYCHEDELIC PILL』以来のアルバムとなる本作のタイトルは『STORYTONE』。同じ場所に立ち止まることなく、常に新たな試みに挑戦し続ける彼だが、今作でもまた、新たな新機軸を打ち立てた!
今作で取られた新たなアプローチとは:まずニール本人がソロのセッティングで曲をレコーディングし、その後に、同じ楽曲を今度は、92編成のオーケストラとビッグ・バンドと一緒にライヴ収録するという新たな光を当てたヴァージョンを制作するというもの。その結果完成した本作は、聴く者の心にぐっと深く響くものとなっている。1枚組のスタンダード・ヴァージョンに収録されているのは、そのオーケストラとビッグ・バンドと一緒に収録されたバージョンとなる。
アルバムからの第一弾シングルとして発表されたのは、アルバム2曲目に収録されている「Who's Gonna Stand Up?」。この楽曲は、もともと2014年夏ニールがクレイジー・ホースとのUKショウで演奏されていたもので、最近もファーム・エイドでソロ・アコースティック・ヴァージョンを披露したばかり。地球の決して強靭ではない、もしろ脆いぐらいのエコ・システムを将来の世代へと守り継ぐために、化石燃料に頼ることに終止符を打とうと訴えるこの楽曲は、ファーム・エイドの観客の心をがっちりと掴んだという。
「Who's Gonna Stand Up?」以外にも、アルバムの幕開けを飾るほろ苦い1曲「Plastic Flowers」、ブルージーな「I Want To Drive My Car」、痛切な「Tumbleweed」、また心震える「When I Watch You Sleeping」などをはじめ、アルバムに収録されているどの楽曲も、それぞれが語るテーマに沿って異なる音像や感覚を聴くものに与えるそう――まるで、どの物語にもその物語なりの語り口があるように。
アルバムのプロデュースを手掛けるのは、ニール・ヤングとニコ・ボラスからなる“ザ・ヴォリューム・ディーラーズ”。ロック・シーンにおける孤高のレジェンドにして、今なお精力的な活動を続けるカリスマ、ニール・ヤングが新たな語り口と新機軸を打ち立てた意欲作に耳を傾けよ。
発売・販売元 提供資料(2014/10/20)
Neil Young follows his incredibly lo-fi 2014 release, A Letter Home, with the grand, orchestral-backed Storytone. Produced by Young and Niko Bolas with the orchestra and choir conducted and arranged by Michael Bearden and Chris Walden, the album is another welcome addition to Young's impressive back catalog. ~ Rich Wilson|
Rovi
半年のスパンで登場した新作は、オーケストラやビッグバンドと一緒にライヴ・レコーディングを行ったもの。メロディーの美しさを際立たせたA&M系の曲と、ゴキゲンなスウィング・ジャズ系の曲がほぼ交互に収録されていて、その対比のおもしろさを味わいながら、古き良きアメリカにタイムスリップできるような一枚です。さらに、それらの楽曲を弾き語りヴァージョンで披露した、2枚組のデラックス版も同時リリース!
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.374(2014年12月25日発行号)掲載)