プロデューサーとしての成功によって失われた衝動を再び取り戻したポスト・ロック・インストゥルメンタルの極北ダニエル・ラノワのアルバム
U2『The Unforgettable Fire』(84年)『The Joshua Tree』(87年)『Achtung Baby』(91年)、ピーター・ゲイブリエル『So』 (86年)、ロビー・ロバートソン『Robbie Robertson』(87年)、ネヴィル・ブラザーズ『Yellow Moon』(89年)、ボブ・ディラン『Oh Mercy』(89年)『Time Out of Mind』(97年)など、ロック史に輝く多くの名盤を世に送り出してきたプロデューサー兼エンジニア、ダニエル・ラノワ。ソロ・アーティストとしても、『Acadie』(89年)、『For the Beauty of Wynona』(93年)、『Shine』(03年)、『Belladonna』(05年)、『Here Is What Is』(07年)などのオリジナル・アルバム、また初のバンドユニットとなるブラック・ダブ名義ではアルバム『ブラック・ダブ』(11年)を発表し、翌12年初頭には初の来日公演も行ってファンを沸かせ、さらには映画『Sling Blade』(96年)を担当するなど、高い評価を得てきた。一部のソロやブラック・ダブではスチール・ギターのようなアーシーな楽器を駆使したブルージーな音楽を奏でるラノワだが、いっぽうで最新の機材を縦横無尽にあやつるエンジニアでもあり、またそのキャリアはアンビエント・ミュージックの創始者ブライアン・イーノのエンジニアからスタートしているということもあり、エレクトロニクスにはきわめて精通している。
本作品は自身のソロ名義の作品としては久々となる。タイトル『フレッシュ・アンド・マシーン』は、「肉体と機械」の意。オール・インストゥルメンタル、オーガニックなエレクトロニック・アンビエント・ミュージックになっている。
アンビエントではあるが、随所にリズミックな要素が含まれている。本人によると、それは「Autechre(イギリスのアヴァン・テクノ・ユニット)やマトモス(アメリカの電子音楽ユニット。ビョ-クとも共演している)のような変則ビートとのこと。ラノワのオーガニックな音楽のファンにも、AutechreやExplosions In The SkyのようなNewInstrumental Musicの聴き手にもアピールするだろう!
発売・販売元 提供資料(2014/09/16)
名匠ダニエル・ラノワによる久々のソロ作は純インスト・アルバムに。〈肉体と機械〉というタイトルが象徴するように、しなやかなモアレを描く有機的な生音のレイヤーや、ソリッドなビートを伴ったインダストリアル・サウンドが調和と対立の狭間で共鳴し合い、ラノワ特有の青白いアンビエント世界を構築している。これ、本当に素晴らしい。凡百のアンビエント作品とは音の強度・深度がまるで違うのだ。
bounce (C)斎藤遠太
タワーレコード(vol.373(2014年11月25日発行号)掲載)