クープラン: リュリ讃、コレッリ讃、トリオ・ソナタ「壮大なもの」、ソナタ「スルタン妃」

フランス古楽界の新世代を代表するバロック・ヴァイオリン奏者、アマンディーヌ・ベイエ。2014年11月にはアンサンブル・リ・インコーニティを率いての来日が予定されています。この度、久々にハルモニアムンディからの登場となる当盤のプログラムは、F. クープランの「リュリ讃」と「コレッリ讃」というなんとも嬉しい組み合わせ。ベイエの魅力である喜びに溢れたようなリズム、愛に満ちた明るい音色があますところなくとらえられています。
CDのプログラムは、「壮大なもの」で幕を開けます。「少しクセのある、色鮮やかな不協和音に満ちたハーモニーのキラキラとしたつむじ風にたちまち耳を奪われる」とベイエ自身述べている作品を、非常にチャーミングに響かせています。
F. クープランの「コレッリ讃」と「リュリ讃」は、両作品とも各楽章に表題が付けられており、「コレッリ讃」では音楽の神が住まうパルナッソス山にコレッリが導かれる様子が描かれ、「リュリ讃」では、コレッリに続いてパルナッソス山へ登ったリュリが、そこで出会ったコレッリと共に演奏を行う、という物語になっています。フランスでは、「トンボー」というジャンルで、先人の肖像画的な音楽を作るという伝統がありましたが、このクープランの「リュリ讃」「コレッリ讃」は、それぞれの作曲家のスタイルに厳密に従っているわけではなく、また、その規模などから、音楽史上でも特殊な作品として輝きを放っています。ベイエとアンサンブルの面々が、活き活きとしたリズムでひとつひとつのハーモニーまでも逃さず味わいつくすように演奏しています。
最後に収録されているスルタン妃は比較的初期の作品ですが、繊細なテクスチュア、柔軟な舞曲のリズム、抒情性、モティーフのキャラクターづけの巧さなどが光る秀作です。
キングインターナショナル

French Baroque violinist Amandine Beyer and her group Gli Incogniti have gained a reputation for lively performances of Baroque chamber music but this one is going to be tough to beat. It pairs the two Francois Couperin works titled "Apotheosis," one devoted to Couperin's French predecessor Lully, the other to Arcangelo Corelli. They're a fascinating pair, both aimed at the reconciliation of Italian and French styles, but in different ways, with Italianate instrumental work grafted with exquisite grace onto French court rhythms in the former, and French ornament added to a loose sonata structure in the latter. Beyer's violin seems almost to bloom from its surroundings, and the playing of all the musicians has a most attractive combination of crispness and warmth. Another attraction is the presence of a pair of early Couperin works designated "sonades," framing the two Apothesoses; these are rarely heard and put Couperin's later attempts to "reunify the tastes" into an interesting perspective. Add in superior sound from Harmonia Mundi, and this is, in sum, a release that may well be definitive for these works.