The Kooksが若手ヒップホップ・プロデューサー Infloをプロデューサーに迎え、新たな方向性音作りがもたらされた新世紀のソウル・アルバムを完成させた!
■The Kooks: 2003年にブライトンの音楽学校で結成されたロック・バンド。結成後3ヵ月で〈ヴァージン・レコーズ〉と契約。だがすぐにアルバム制作には入らず、ライヴを続けながら ソングライティングを磨く。2006年、デビュー・アルバム”Inside In / Inside Out”を リリース。イギリスではArctic Monkkisの大成功を収めた1stアルバム”Whateverー~”と同日リリースだったため、セールスを含め比較の対象にされがちだったが、最終的には”Whatever~”に迫る190万枚近い売り上げを記録。2008年の2nd “Konk”は 初登場UKチャート1位となり、イギリスの若手を代表するバンドの一つに。The Kinks、The Rolling Stones、Blurなど英国的なソングライティングの伝 統を受け継ぎつつ、Bob Dylanなどに影響されたフォーキーなロック・アンサンブルが特徴。とりわけ、キャッチーなメロディで歌われるラヴ・ソングを得意とする。ポップなセンスとしっかりしたバンド・アンサンブルの両面で男女ともに人気を博している。
■メンバー: Luke Pritchard(Vo、G)、Hugh Harris(G)、Denton(B)、Alexis Nunez(Ds)
■本作: 2011年9月の”Junk of the Heart”に続く3年振りとなる4作目。Lukeが愛するソウル、ブラック・ミュージック、そしてアルバム制作の間に出会ったワールド・ミュージック等の影響を取り入れながら、若きヒップホップ・プロデューサーInfloを迎え制作された。
発売・販売元 提供資料(2014/07/30)
ヒップホップ系の新進プロデューサー、インフロの起用も物議を醸しそうな3年ぶりの新作だ。ブーストした低音とウワ音を切り貼りしたようなミックスに戸惑うファンは多いかと思うが、そもそも彼らは登場時から型にはまったバンドではなかったはず。サウンドメイクにおける新たな挑戦が、ロックンロールに止まらず、ファンク、ディスコ、ラテン音楽などさまざまな要素を持った楽曲に結実したことを、まずは評価すべきだろう。クークス版のクラッシュ『Combat Rock』、あるいはローリング・ストーンズ『Undercover』だと考えれば、これもまたブリティッシュ・ロックの伝統を受け継いでいると言えなくもない。胸を焦がすメロディーは健在で、メンバーの眼差しは少しもブレていないのである。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.370(2014年8月25日発行号)掲載)