リムスキー＝コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 Op.35; ベートーヴェン: 交響曲第6番 Op.68「田園」; ストラヴィンスキー: 春の祭典＜タワーレコード限定＞

日本フィルへの最後の客演となった、マルケヴィッチ1980年の壮絶ライヴ3曲が世界初発売!

1956年の創立以来、渡邉暁雄氏に率いられ華々しい活躍を日本の楽壇に刻み続けている日本フィルにとって、忘れられない客演指揮者の筆頭格のひとりがマルケヴィッチでしょう。1960年の初来日以来、日本の聴衆に「春の祭典」を始めとした名演を残したマルケヴィッチの功績は図り知れないものがあります。これまで、1960年、'68年の公演の記録や一部のスタジオ録音等でその軌跡を確認することができましたが、今回の発売では、両者の最後の共演の年となった1980年の貴重な記録がベールを脱ぎます。しかも、マルケヴィッチ本人が得意としており、メジャーレーベルに名盤として残されている3曲。リスナーにとっては、晩年の録音ということでも興味が沸くに違いありません。細部に拘り続けた巨匠の貴重な記録です。
マルケヴィッチは1960年以来、'68年、'70年、'80年と4回日本フィルのために来日しました(この後1983年に最後の来日。離日後2か月弱で心臓発作にて急逝)。この1980年の音源はこれまで一度もリリースされたことはなく、記録してのみ保管されてきましたが、2年前の生誕100年の際にこれら貴重音源をリリースするべくプロジェクトをスタートし、ここにようやく音源の発売を行うことができました。
「シェエラザード」は1962年録音のロンドン交響楽団との名盤があります(PHILIPS原盤。タワー企画盤PROC1177で発売中)。基本的な解釈は28年後のこの演奏でも踏襲しており、明確な指揮によりこの曲の構成力の豊かさが伝わる演奏です。「田園」は1957年録音のラムルー管弦楽団とのスタジオ録音が残されているだけです(DG原盤。タワー企画盤PROC1168で発売中)。ベートーヴェンの楽譜の研究家としても知られたマルケヴィッチが、晩年どのような演奏をしていたかという資料的な価値もある貴重な記録です。
そして、白眉はやはり「春の祭典」。モノとステレオの名盤やライヴも残されていますが、1980年来日時の終盤の記録であるこの演奏は、1960年以来数度にわたって日本フィルと演奏をしてきたこの曲の、両者の集大成といっていい演奏です。実は「田園」が演奏された10月23日の公演の後半でもこの曲を振っていますが、後の演奏となったこの11月1日の演奏の方が、より細部にわたり綿密で、しかも白熱した演奏となっていました。特に第一部の最後の盛り上がり等、当時聴いていて鳥肌が立つ演奏だったことでしょう。面白いことに両日の演奏はテンポが多少異なり、前者は一歩一歩確認をして行くかのような慎重さが中心であったのに対し、後者はより柔軟な演奏となっていました。どちらを発売するか大変悩みましたが、高揚感やオケの充実度の観点から、後者の演奏を発売した次第です。