00年代に入ってからの再始動以降は、ダークな雰囲気を湛えたアメリカーナ的サウンドで新境地を開き、別ベクトルのヘヴィネスを追求してきたアース。この10作目でも再びその道を究めるのかと思いきや、御大はヘヴィロック/ヘヴィ・ドローンのオリジネイターとしての威厳を示す音、ヘヴィなリフを主軸とする楽曲を携えてきた。来日公演でも披露された数曲をはじめとし、いわゆるロック・フォーマットに沿う展開が多く、踏込み易い印象が全編を貫く。
その踏み込み易さは久々にフィーチュアされたヴォーカルによるところも大きい。2曲でヴォーカルを執っているのはマーク・ラネガン(スクリーミング・トゥリーズ、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)だ。アース結成以前から友人関係にありながら、共作というかたちでは実現していなかったコラボレーションが遂に実現。両者の長きに渡る拠点シアトルの音楽シーンの奥深さを感じさせる。
ヘヴィなリフ主体の楽曲、ヴォーカル入りということでアース活動停止前の最終作『Pentastar』を彷彿とさせると語られているが、過去作の焼き直しには非ず。ディランのDRカールソンアルビオン名義での活動と並行することで新たに見えてきた、アースの新境地が伺える傑作だ。
発売・販売元 提供資料(2014/08/01)
アース通算10枚目のアルバム。ヘヴィロック/ヘヴィ・ドローン界の巨匠ディラン・カールソンの健康回復ぶりと比例するかのように切れ味が増したプレイと、バンドの好調ぶりを余すところなく収録。マーク・ラネガンが参加した久々のヴォーカル曲とヘヴィな主体の楽曲で提示する新境地。 (C)RS
JMD(2014/07/08)