約20年ぶりに蘇る、どこまでも崇高で格調高い演奏。ヨッフムのブルックナー:宗教曲集を集成。

1950年より、ドイツ・ブルックナー協会の総裁を務めたブルックナーの権威、オイゲン・ヨッフム(1902～87)が手兵バイエルン放送響&合唱団(一部ベルリン・フィルを起用)と制作した「ブルックナー:宗教合唱曲集」が、約20年ぶりの時を経て復活いたします。この録音は、ブルックナー没後100年を記念して、CDでは1995年に日本ポリドール株式会社(現・ユニバーサルミュージック)から交響曲全集と同時にセット販売されました。その後、輸入盤では一部分売もされましたが(オリジナルス盤。2枚組)、セットとしてまとめて聴ける機会はそう多くはありません。
録音は1962年にスタートしており、殆どの作品は同レーベルへの交響曲全集の録音完了間近の1966年に集中して行われました。まだブルックナー・ブームとなる前の時期に、二度の交響曲全集の完成はもちろん、このような偉業をも成し遂げられたのはブルックナー演奏に終生情熱を傾けたヨッフムならではといえるでしょう。ブルックナーの主要な宗教曲を網羅するだけでなく、それらの最良の演奏として長年聴かれ続けている名盤です。また、「ブルックナーの交響曲全集は何セットも所有しているが、宗教曲はまだ聴いたことがない」というブルックナー・ファンにも、本セットはお薦めです。交響曲への楽句の引用や酷似した和声進行や、壮大なオーケストレーションなど、新鮮な驚きの数々に、ブルックナーの音楽への理解がさらに深まりまることでしょう。
歌詞対訳付きなのもさることながら、音質的にも新たにハイビット・ハイサンプリング(24bit、192kHz)音源をCDマスターに使用しましたので、ヨッフムのニュアンス細かな至芸が現代に蘇ります。必聴のセットです。

タワーレコード （2014/05/08）