シューマンを得意とするシフの隠れた名演が久々の復活!ショパン共々ロマン派演奏の極み!
ドラティ&コンセルトヘボウ管は、モノラル時代からPHILIPSレーベルに多数の録音を行ってきましたが、DECCAレーベルとの録音はこの盤が唯一。もっともシフの契約レーベルがDECCAであったためとはいえ、貴重な録音が誕生しました。録音時77歳という高齢にもかかわらず、既にその時期でも多くの名盤をドラティが残していた(さらに継続中)ことは驚異に値します。
このシフとの共演盤は初発売以来オリジナルの形ではなぜか再発する機会がありませんでした。カップリングが一風変わっていること、1曲目にショパンの2番を持ってきていることで地味な印象を与えるためかと思われますが、実はシューマンの気品溢れるシフのタッチは、同曲の中でも評価が高い演奏です。このまま埋もれてしまうのはもったいない演奏であり、珍しいドラティとの共演やバックが豊かな響きのコンセルトヘボウ管という点でも魅力ある録音であることは疑いの余地がありません。
包容力のあるドラティの指揮は同郷のシフの音楽性と合致する点が多いのか、謙虚でありながらも同質化する方向を目指し、豊かな響きで包み込むようなアプローチが基本。この等身大の心地良い音楽は、ドラティの目指す音楽性そのままと言えるのではないでしょうか。

タワーレコード （2014/03/19）