ジョニー・キャッシュ幻の未発表アルバム。アメリカを代表する偉大なるカントリー・ロック歌手ジョニー・キャッシュ。ロックンロールの反逆性、フォークの自叙伝的要素、カントリーの悲哀の狭間で独自の世界を作り上げ、2003年の逝去まで幅広い支持を受けた。ポール・マッカートニー、U2、ボブ・ディラン、カート・コバーン他数多くのロックアーティストからも愛され、アメリカ音楽史における最重要人物の一人。ロックの殿堂、カントリー音楽の殿堂、ソングライターの殿堂入りを果たしており、グラミー賞では11回の受賞歴を誇る。しかし長いキャリアは決して平たんなものではなかった。こと1980年代にカントリーは廃れたか?と多くのカントリー・ミュージシャンがあがいていた時代にキャッシュも例外ではなく、レコード会社の勧めでプロデューサー ビリー・シェリルを迎え1984年に本作を制作したが、キャッシュ自身も豪華なバンド編成で意欲的に取り組んだものの、このアルバムが発表されることはここまで無かった。奇しくも2012年にこのレコーディングが発見され、息子ジョン・カーター・キャッシュによって完成、今回のリリースに至った。ジョニー・キャッシュ幻の未発表アルバムが時空を超えてついにリリースされると同時に、キャッシュの新たなクラシックが誕生する。
発売・販売元 提供資料(2014/02/17)
2003年に御大が亡くなってからいろいろな未発表曲集が届いたけれど、なかでもこれは物凄く重要な蔵出し作品。ビリー・シェリルをプロデューサーに立てて制作されながらも世に出る機会を奪われていた幻のアルバムで、84年にLAで吹き込まれた音源が軸となっている。その内容は封印された理由が見当たらないほどの品質を誇り、妻のジューン・カーター・キャッシュやウェイロン・ジェニングスを迎えたデュエットも心に沁みるもの。苦みばしった低音ヴォイスが悠々と流れていく“She Used To LoveMe A Lot”なんて、何度聴いても鳥肌が収まらない。そしてラストに置かれた同曲のリミックス版(手掛けたのはエルヴィス・コステロ!)はあまりに深い闇を描き出す、強力すぎるボートラと言えよう。
bounce (C)桑原吏朗
タワーレコード(vol.366(2014年4月25日発行号)掲載)