前作から約3年半。タマス・ウェルズの5枚目のアルバムがついに到着!6年間を過ごしたミャンマーからオーストラリアに戻ってからはじめて作られたアルバムということで、より多様な楽器を用い、バンド・メンバーとのアンサンブルを重視した上質で洗練された前作の路線の完成形を追い求めるかと思いきや、意外にもとてもパーソナルなソロ作品となりました。タマス・ウェルズ・サウンドの代名詞だったアコースティック・ギターとピアノによるフォーキー・アンサンブルを封印し、本作ではエレクトリック・ギターとキーボードを中心としたプロダクションに、さらにドラムマシーンや口笛といった意外性のある飛び道具を加えたタマス・ウェルズ流インディー・ポップとも言うべき新たなる新鮮なサウンドを志向した曲がいくつも輝きを放っています。しかし、サウンドの変化と反比例するかのように、その歌はより内省と自己沈潜の方向に進んでいます。恩寵と慈悲そのものと言うべき天衣無縫の歌声によって歌われる深遠の念は、彼が直接経験した数々の悲劇によって血に塗れた「ミャンマー三部作」すら遠くへと追いやる強度と、ふとした瞬間に消え去りそうな脆弱さ。「本当に悲しい歌こそ明るく歌う必要がある」というポップ・ソングの真髄にして、サッド・ソングの極意をタマス・ウェルズなりに本質的に表明した奥深い作品だと言えるでしょう。デビュー・アルバムからちょうど10年。「天使の歌声」はついにここまで来ました。
発売・販売元 提供資料(2014/04/22)
オーストラリア人シンガー・ソングライター、タマス・ウェルズが2012年までの6年間を過ごしたミャンマーから帰国後初めて制作した通算5枚目のアルバム。代名詞のフォーキー・アンサンブルから鮮やかなバンド・サウンドへと変化をみせつつも、その歌はさらに内省化。"本当に悲しい歌こそポップに歌う"サッド・ソングの極意を表明した奥深い一枚。 (C)RS
JMD(2014/02/11)
〈ミャンマー3部作〉を経て地元メルボルンに戻ったタマスが、5年ぶりの新作を発表した。代名詞とも言える生ギターとピアノだけの簡素なアンサンブルは封印し、エレキやキーボード、ドラムマシーンといったエレクトロニックな音を導入。聴き心地はフォーキーなチルウェイヴといった具合で、その変化に驚かされる。が、歌詞を読むといままで以上に内省的。本人いわく「悲しい歌こそポップに歌う」だそう。妙に泣けます。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.365(2014年3月25日発行号)掲載)