★『臨死体験の人たち』
脳内出血により、救急車で搬送された病院での話。緊急脳手術のため全身麻酔を打たれた桜金造は、意識不明のはずなのに不可思議な光景を目撃する。手術道具を床に落とす看護師、自分の意識が浮き上がり天井に指が触れる幽体離脱、集中治療室で目撃した死神の影・・・術後の入院中に見聞きした"本当に恐ろしいこと"。「次はあなたの番かも知れませんよ」と桜金造は締めくくる。

★『怖がらない人たち』
世の中には、霊が見え、霊の声が聞こえているのに、怖がらない人が大勢いる。「毎夜亡霊が煩い」と嘆く住職、「夜中に喋らない人形なんて作っても仕方が無い」と平然な顔で言い放つ人形師など、当事者から聞いた話に加え、桜金造自ら実際に体験した「怖がらない人々」の怪談を語る。

★『見てしまった人たち』
この世のもので無いないものを見てしまった人は、何を見たのかを教えてくれないと言う。日光東照宮の旅番組のロケを中止にしたベテランのビデオカメラマン、何かから逃れようとして精神が崩壊した大学合気道部の部員、そして高校生時代に桜金造が目撃した「小坪トンネルの怪」、この怪奇現象に遭遇した友人は未だに精神科に入院していると言う。
★『別れを告げに来た人たち』
死ぬ前の親しい人と逢いたい気持ちは、霊となって時空を超えると桜金造は話す。同じタクシーに一週間の内に四度も乗り合わせる偶然は、死ぬ間際の友人の魂が成せる業だった。また桜金造本人の叔母が死ぬ間際に「もう金造に逢ったから、田舎に来なくていい」と遺した謎の言葉は、時空を超えた愛があった。

★『因果応報の人たち』
動物虐待を行う人、醜い容姿の女の子をいじめ殺す人、そんな人は非業の最期を迎える。そして、桜金造本人も脳内出血により左半身にマヒが残ったことは、昔の霊象に原因があると疑っているのだった。