初CD化!1976年、初のソロ・ピアノ作にして,際立つ個性。ピエラヌンツィ自身のルーツ的作品にして現在の世界に連綿と繋がるオリジナリティが溢れた秀作。原盤はEdi-Pan。Edi-Panと言えば、チェット・ベイカーとの共演作品を録音したレーベルであり、ピエラヌンツィの初期キャリアを伝えるものでありながら、経営破たんにより、数々の作品が埋もれたままになってしまっている状況。この復刻は快挙です。40年あまりに及ぶキャリアに置いて、本作が初のソロ・ピアノ作品。本作はピエラヌンツィのファンの方には聴き逃せない作品と言えます。というのも、初ソロ作品にして現在のピエラヌンツィにつながる様々な要素が既にここにあり、凝縮されているのです。鋭いモード的なアプローチもみせつつ、ストライド・ピアノの奏法なども織り込んだブギウギ的なアプローチや、ブルースといった原点も。それをヨーロピアンらしい繊細なハーモニー、感性で包み込んだ演奏は、現代のピエラヌンツィの表現と全くにブレることのないコアと重なるのです。また、ピアノのテクニックも冴えわたり、類まれなオリジナルのコンポジションも、当時から、魅力的に響きます。逆にいえば、これが1976年の録音であることが驚きとも。モーダルでテンション感鋭いフレージングを繰り出すオープニングは、1960年代にマッコイ・タイナーが導きだしたものを彷彿とさせると共に、永遠に新しさを放ち続けるチック・コリアの名盤『Now He Sings,Now He Sobs』に肉迫する先鋭性。かと思えば、抒情溢れる表現が見事な完成度で奏でられる展開も。しかし、それこそが、エンリコ・ピエラヌンツィが全世界において、ジャズ・ピアノのパイオニアであり、数多くのフォロワーからリスペクトされることの証明でしょう。1970年代のイタリア・ジャズの状況とピエラヌンツィの独自性などを本人のコメントも交えながら綴ったライナー・ノーツも興味深いもの。日本語訳も掲載されています。
発売・販売元 提供資料(2014/01/24)
沈黙の次の日、というタイトルは今日から饒舌ということなのだろうか。エンリーコ・ピエラヌンツィのこの不思議なタイトルのアルバムは1976年彼の二枚目として制作された。オリジナル作品のピアノソロである。当時、イタリアジャズがようやく、自国のアーティストの音楽をジャズに見つけ始めたことだったという。マッコイ・タイナーとチック・コリアが同時に聴こえてくるそんなスタイルで弾ききる。このパワーは当時のイタリア社会のエネルギーからくるのだろうか、粒建ちのよさというか、音のたちかは半端ではない。今のデヴィッド・キコスキを彷彿させるピアノは、すでにここにあった。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.109(2014年4月20日発行号)掲載)