菊地成孔ダブセクステット、DCPRGの参加、さらに自身のリーダー作品の発表など、着実にキャリアを重ね、人気、実力を兼ね備えた日本ジャズ・シーンのトップ・プレイヤーとして活躍する類家心平。本作では自身のバンド・メンバーであり、類家が信頼する若手ピアニスト、中嶋錠二とのデュオ・アルバム。中嶋とのデュオでの演奏はここ数年続いており、コンビネーションの成熟がなされたこのタイミングでのレコーディングとなった。バンドにおいてはエネルギッシュで熱い演奏とアブストラクトなサウンドが展開されるのと対照的に、本作ではフレーズ、アンサンブルと繊細かつ内省的なサウンド、しかし単なるジャズ・バラード集に収まらない2人の持つ前衛性も意識した美しくも先鋭的なアルバムとなった。“Nearness of you”、“Panonica”など有名なスタンダード・ナンバーをはじめ、マイルス・デイヴィス“Flamenco Sketch”や日野皓正の“Alone, Alone And Alone”そして、エリック・トラファズのナンバー“Betty”などを収録。このデュオの本領発揮となる濃密で静謐な表現で名曲を演奏する。類家の作曲によるスリリングなナンバー“HAOMA”、2人の出身地である八戸市をテーマに書かれた“North Latittude of 40.3 degrees”ほかそれぞれの短いインプロヴィゼーションがアルバムを彩る。ライナーノートは、様々なバンドで類家と共演をし中嶋のピアノの師匠でもあり2人をよく知るピアニスト、坪口昌恭が執筆。新たな表現の可能性を提示する類家心平、中嶋錠二による斬新かつ上質なジャズ・アルバムとなった。
発売・販売元 提供資料(2014/01/16)
類家心平の新作が早くも登場!60年代以降のマイルスを彷彿とさせる前作に続くのは、自身のバンドのピアニスト・中嶋錠二とのデュオ。贅肉を削ぎ落としてよりメロディにフォーカス、緩慢な時の流れと余韻を色鮮やかに描く繊細な音の連なりに何度もハッとさせられます。タイトルは両名の故郷である青森県八戸市の座標を示すと同時に、極寒の地の氷上にするりと存在する美の象徴のよう。これは感傷に浸るための音楽です。
intoxicate (C)平野望
タワーレコード(vol.108(2014年2月20日発行号)掲載)