デビュー・アルバムがイギリスで10万枚を越すセールスを記録し、「ポーティスヘッドの再来」と評された歌姫のアリソン・ゴールドフラップとコンポーサーのウィル・グレゴリーによる人気ユニット、ゴールドフラップ。これまでポップミュージックながらコアな音楽ファンや手厳しい音楽批評雑誌からも高い評価を得て、マーキュリー・プライズにノミネート。また2ndアルバム以降、ダンス・ミュージックに近いエレクトロクラッシュに転向。代表作『スーパーネイチャー』はヨーロッパのみならず、世界中で大ヒットを収め、マドンナが「今一番注目しているアーティスト」と発言するなど世界的にその地位を獲得した。そしてオリジナルでは3年振り6作目となる本作では心機一転、ブリストルに所有するスタジオでたっぷり2年を費やして制作され、ゴールドフラップの持つグラマラスなエレクトロニックなイメージから180度異なる作品に!英国フォークやアコースティックを基調とした初期作を彷彿させる楽曲に変貌し、これまでになくミニマリズムを極め、眠りと目覚めの狭間にあるドリーミーで密やかな世界が広がっている。またストリングスとシンセサイザーというゴールドフラップの二本柱は健在ながら、アコギを主役に据えた、空間をたっぷり含むサウンド・プロダクションを展開。セピアに退色した写真を眺めているようなノスタルジックな雰囲気とモノクロームなヴィジュアルが幻想的な世界観を創り出す、ゴールドフラップ渾身の1枚。ラナ・デル・レイやロンドングラマーに注目する早耳リスナーから、アデルなどの女性シンガー好きなリスナーにも幅広く聴いてもらえる好内容アルバムです。
DIS
発売・販売元 提供資料(2013/11/06)
登場時を思わせるディスコティークな音作りに回帰した前作から3年、ベスト盤を挿んでの新作はふたたび幻想的な空気を纏った一枚だ。元気な曲調も良かったが、今回のシネマティックなエレクトロニカのほうがアリソンの透き通る声は引き立っていて、淡々と物語を綴るような歌唱が非常にイイ。そんなヴォーカルのハマリ具合もあり、イマジネーションを強く喚起する仕上がりで、おとぎ話でも読んでいるみたいな錯覚に。
bounce (C)青木正之
タワーレコード(vol.360(2013年10月25日発行号)掲載)