『ナイジェリアン・ウッド』の発表から5年、ブルースとファンクを融合させた“ブルー・ファンク”なるサウンドを確立させた、ナイジェリアが産んだ超絶ギタリスト/ミュージシャン:キザイア・ジョーンズが、自らのあのクセのある、社会的立場を具体化した、パーソナルかつ政治的なアフロ・スーパーヒーロー:『キャプテン・ラギッド』というキャラクターを身にまとい、今シーンに帰ってくる…! あのパーカッシヴなギター・プレイ、ファンク/アフロビートとブルースを融合させたサウンド・スタイル、そして、深みのあるソウルフルな歌声と強力なグルーヴ感…。音楽界の「印象派」アーティストとも言えるキザイア・ジョーンズによる最新作は、自らが創り上げたキャラクター『キャプテン・ラギッド』を通して、現代アフリカ、そしてその都市的なムーヴメントを語る、というコンセプトの元制作された作品だ。彼の心の中にある様々な情景や怒り、そして政治的メッセージなどを描写するそのサウンドが、『キャプテン・ラギッド』という名のもとに今まで以上に自由に行き交う、痛快な作品が登場するのだ。 アフリカの大地に根付くあのビート感と、ファンクのグルーヴ感、そしてブルースの土着性と、ジャズの洗練されたスタイリッシュ感…、聴く者全ての身体に直接刺激を与えるそのサウンドは、今作でも健在。『ブルーファンク・イズ・ア・ファクト!』のあの衝撃的なサウンドと、その後のより深みを帯びた「キザイア節」とも言えるあの特徴的なグルーヴィ・サウンド、その総てを併せ持つ、究極のキザイア・ジョーンズ・サウンドが展開されている。
発売・販売元 提供資料(2013/10/24)
キャリア20年強を数えるも、意外に寡作なキザイア・ジョーンズの5年ぶり6枚目となるオリジナル・アルバム。キザイアが長年温めてきたというキャラクター〈キャプテン・ラギッド〉なるスーパーヒーローを通して、難民や出入国管理、そして亡命といった壮大なストーリーを語った、という一枚だ。権力や政治を風刺する精神はフェラ・クティ譲りか。音的にはホーンを控えて生ギターを多用、時に囁くような歌を聴かせるなど、アフロビート色の濃かった前作に比してまろやかな感触もあるが、逆にギター・カッティングの鋭さが際立っているし、さまざまなリズム・アプローチはこれまで以上に汎アフリカ的。アグレッシヴなだけでなく、硬軟両面、熟し具合が良い塩梅で、しなやかな芯を感じさせる快作だ。
bounce (C)小出斉
タワーレコード(vol.363(2014年1月25日発行号)掲載)