フランスから、また新たな才能が登場した。それはパリを拠点に活躍するDJ/プロデューサー、GESAFFELSTEIN。カニエ・ウエストのアルバム『YEEZUS』で、「Send It Up」、そして「Black Skinhead」(Daft PunkとBrondinskiとの共同プロダクション)の2曲でカニエとコラボレーションし、メインストリームの注目を浴びた彼だが、既にダンス・シーンではラナ・デル・レイ、ジャスティス、デペッシュ・モードなどのリミックス、またSONARやBESTIVAL等のフェス出演でその美しく構築されたインダストリアル・テクノ・サウンドで認知を広めている。メランコリーとダークさを湛えた音像に、快楽的な4つ打ちビート、そしてインダストリアルな攻撃性。そのサウンドスケープの中で一貫して流れる崇高な様式美。スキニ―・パピー、ポップ転向以前のヒューマン・リーグ、さらには初期クラフトワークに流れていたテクノの源流に、ニッツァー・エブやDAFのインダストリアルなルーツを融合させた彼のサウンドは、まさにGESAFFELSTEINという総合芸術である。その全ての要素が、GESAFFELSTEINの『ALEPH』に集約されている。そしてアルバムが持つ世界観が現れているのが、リード・シングルとなる「Pursuit」である。セックス、戦争、機械そしてネオ・クラシカルな生活を送る人々のイメージが、鼓動を刻むビートとダークでメロディアスなトラックで一つにつながっていく。
発売・販売元 提供資料(2013/10/04)
Mojo - 3 stars out of 5 -- "[A]n album of crunchy, squelchy Gallic techno and heavy bass ordnance that registers +11 on the paranoia scale."
Rovi
先日の『I Love Techno 2013』登板に続き、ついにアルバムが出ました! エロル・アルカンやBAROQUEのミックスCDで紹介されていたのが2年ほど前。ティガ主宰のターボなどからリリースを続け、ラナ・デル・レイのリミックスなんかも手掛けていましたが、このリヨン出身の28歳がいきなり注目を集めたのは、カニエ大先生の“BlackSkinhead”に助力した結果でしょう(透明ジャケもカニエの影響?)。鬱展開の表題曲やダークな攻撃性の出た“Duel”、ATLクランクの“Hellifornia”なども引っ括めて今様のインダストリアル気分にハマる硬質なサウンドではありますが……例えばブラックストロボが寿司虎などでせっせと編纂していたフレンチ・コールドウェイヴのコンピあたりを併せて推薦しておきます。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.361(2013年11月25日発行号)掲載)