南米アルゼンチン出身の女性シンガー・ソングライター、フアナ・モリーナの約5年振り(2013年時)となる通算6枚目のアルバム。本作は演奏の全てをフアナが担当し、彼女のスタジオでレコーディングされた完全セルフ・プロデュース作品。甘美なスパニッシュ・ヴォーカルとアコースティック・ギター、繊細で浮遊感のあるエレクトロニック・サウンドが絡み合う「Eras」他を収録。 (C)RS
JMD(2013/10/11)
演奏全てを彼女が担当し、完全セルフプロデュースにより作り上げたという本作。最も自然体な状況で繰り出される 〈B音・詩・旋律〉はブエノスアイレスの風土によって音楽として形成されていく。そこにアルゼンチン音響派という言葉が介在するはずも無く、むしろ自身のルーツを俯瞰したような普遍性を感じさせる。音楽家フアナ・モリーナがこれまで辿った断片が随所に見え隠れしつつ、〈モダニズム〉というワードが勝手につきまとう。まさに天賦の才。
intoxicate (C)木村陽平
タワーレコード(vol.107(2013年12月10日発行号)掲載)
アルゼンチンを代表する不思議系歌姫が、来日を目前に控えたタイミングでクラムド移籍後初となる5年ぶりのアルバムを発表。すべての楽器演奏を自身で担当し、セルフ・プロデュースによって完成させた本作は、ガレス・ディクソン(ニックド・ドレイク名義のニュー・アルバムも要チェック!)とコラボした前作のミニマル&ヒプノティックなテイストを引き継ぎつつも、より音の隙間を活かして多弁な静寂を描いてみたり、(元コメディエンヌの血が騒いだのか)コミカルな電子音の反復によって低体温なグルーヴを生み出してみたりと、淡々としたなかにも繊細な感情表現が読み取れる、味わい深い一枚に仕上がっている。そのあまりにも自然な佇まいと浮遊感は、数あるドリーム・ポップ盤と聴き比べても独特だ。
bounce (C)佐藤一道
タワーレコード(vol.361(2013年11月25日発行号)掲載)