超絶的なコロラトゥーラとリリックな声が内外で高評価の天羽明惠(アモウアキエ)
音楽の、もっともシンプルで、もっとも根源的なすがた
日本歌曲からドイツ・リートまで、よく知られたうたが集められたこのアルバムでの天羽明惠は、「声」による、ひとつの究極の表現に達しているように思える。その声の美しさは「天上的」とよびたいほどだが、もってうまれた美声に加え、彼女がどれほどのトレーニングを積んでそれをコントロールしているのかは、むしろこういった小品にこそよく現れている。それは、「ひとの声」の究極の表現といっていい。忘れてならないのは、伴奏をつとめる鈴木大介のギターだ。声とギターはたがいに寄り添って、あるときは青空から降り注ぐ日の光のように、あるときは野原に咲き乱れる花の香りのように、またあるときはどこまでも透き通った湖の水のように、様々に色合いを変えてうたの世界を紡ぎ出す。このアルバムを聴くひとは、一生これを手元においておきたいと思うだろう。幸せな時、悲しい時、人生の折りにふれて聴きかえしたい「うた」。それは、音楽の、もっともシンプルで、もっとも根源的なすがたである。
天羽明惠(アモウアキエ)
東京芸術大学卒業。
オペラ研修所二期会オペラ・スタジオ修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてシュトゥットガルト音楽大学に留学。95年第6回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。副賞として財団の助成によりベルリンで2年間研修を行う。同年7月、新人の登竜門として知られるラインスベルク音楽祭で、《ナクソス島のアリアドネ》のツェルビネッタをクリスティアン・ティーレマンの指揮で歌い、続いて8月に、ソニア・ノルウェー女王記念第3回国際音楽コンクールに優勝して、一躍注目を集めることとなった。その後、ドイツを拠点として、ジュネーヴ大劇場、ザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)、ベルリン・コーミッシェ・オーパー等ヨーロッパ各地の歌劇場や音楽祭に出演。超絶的なコロラトゥーラとリリックな声が内外で高い評価を得ており、日本の主要なオーケストラの定期公演にも、著名な指揮者の下、ソリストとして出演している。
発売・販売元 提供資料(2013/10/01)
超絶的なコロラトゥーラとリリックな声が高評価のソプラノ歌手、天羽明惠が、日本歌曲からドイツ・リートまで有名曲を歌うアルバム。クラシック・ギタリストの鈴木大介が伴奏を務める。 (C)RS
JMD(2013/08/29)
長年共演を続けているお2人ならではの素敵な歌曲集です。ギターとの組み合わせで聴く歌は一層繊細な響きにあってピアノのときとはまた別の味わいがありますね。選曲も素晴らしい。《からたちの花》《宵待ち草》といった日本歌曲、《五木の子守唄》《マリアの子守唄》他の子守唄の数々。そして中でも聴きものは《ブラジル風バッハ第5番より”アリア”》でしょう。全編通して穏やかなしっとりと聴きたくなるこの季節にぴったりのアルバムです。
intoxicate (C)古川陽子
タワーレコード(vol.106(2013年10月10日発行号)掲載)