前2作のスタジオ・アルバムでは、ダークな領域にも踏み込み、サウンド的にもエレクトリック・ギターを掘り下げていたが、今作は全編をアコースティック・ギターで書き上げ、豪華でありながらも飾り気のない素朴さを残して楽曲に命が吹き込まれている。プロデューサーは、ジャック史上最大のヒット作となった『In Between Dreams』も手掛けたはマリオ・カルダートJR.がつとめている。(ベン・ハーパーもゲスト参加!)まさに、原点回帰ともいえるアコースティック・サウンドを基調としたジャックならではの作品に仕上がっている。リード・トラック「アイ・ガット・ユー」はジャック定番の曲としてこれから長らく愛されるであろう名曲!直近でも、米の人気フェスティヴァル「ボナルー」で元々ヘッドライナーであったマムフォード&サンズのキャンセルを、その代役として急遽出演を果たし大絶賛を得た。今作は、ジャックのハワイの自宅玄関前ポーチで曲の大部分が書かれ、夕暮れ時には泳いだりサーフィンしたりしてひと休みしながら、海沿いにある自身のスタジオでレコーディングを行われた。そこには、3人の子供の父となったジャックにとってのかけがえのないハワイのノース・ショアの日常が描かれているが、それは誰の心の中にもある大切な場所と通じていて、共感せずにはいられない自分自身の物語になっている。
発売・販売元 提供資料(2013/07/31)
ふたたびアコースティック路線に戻った3年ぶりの新作。まるで砂浜に打ち寄せる静かな波のように優しい楽曲を並べ、ハートウォーミングなサーフ・ミュージックを求めるファンの期待に100%応えてみせた。ざっくりとしていて、いかにもホームメイドな作品だが、ヒップホップやトラッド・フォークの影響など隠し味が効いているせいか、歌の味わい深さがじわじわと染みて聴き飽きない。ベン・ハーパーの客演も聴きどころ。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.359(2013年9月25日発行号)掲載)