2013年日本でもファッションのトレンドとなっているヤシの実やトロピカルなモチーフ、そこへ当時のサイバーパンクを踏襲した今ではローテクと言えるインターネット初期のイメージを用い、10年代以降飛躍的に発展するポスト・インターネット世代の大きな波となったスタイル Seapunk で大反響を呼んだシーンの中心人物 Ultrademon。デビュー・アルバムはなんと90年代に Aphex Twin, Squarepusher、μ-Ziqなどを輩出し、ブレインダンスなるオルタナティブなダンス・ミュージックで一世風靡をしたまさかの〈Rephlex〉より。エレクトロ、ハウス、ブレイクビーツ、ベース、ジューク、ビート、多種多様のリズム、 8bitなローテクな音色、レイビーなシンセ、クラシックなサンプリングとスクリューさせたサンプリングを巧みに織り交ぜ90年代の要素を現代の感性で切り取とったような、 アップテンポな攻めのトラックからビートダウンしたチルなトラックまで、タイトルも含め海を連想させる雰囲気が全体を覆った10年代におけるダンス・ミュージックのハイブリディティを象徴する一枚へ。 バレアリックでもない、チルでもない、"シー"なんです!
インパートメント
発売・販売元 提供資料(2013/08/07)
何と、ついに#シーパンクのCDがリリースされましたよ~!と言っても、知らなければまるで馴染みのない言葉ではありましょう。#シーパンクというのは数年前からTumblrやTwitterで話題となり、〈#Seapunk〉というハッシュタグによって伝播され、トレンド化したSNS発祥ムーヴメントのこと。言葉の由来はそのまんまSea(海)+サイバーパンクらしく……まあ、文字だけでは説明しづらいので画像や動画とかを検索してもらったほうが早いんですが、まるでクリスチャン・ラッセン的な絵画を90年代風のチープなCGで描いたようなイルカや波、椰子の木などのヴィジュアルを伴って表現されるもの。そんな視覚イメージは、ファッション方面でもエメラルドグリーンに染めた髪や奇天烈なマリン模様にて明快に表現されています。そう書いても何の何かわからない感じかもしれませんが……このジャンクな動きを推進しているのがシカゴのウルトラデーモン。バビロン・ズーばりの胡散臭さに溢れた彼の作風は、ベース~トラップやらチルウェイヴやらインディー・シンセやら昨今のネット親和性も高い音楽をエレクトロにミックスした享楽的なサウンドでありつつ、初期レイヴやガバ、ナードコアなど90年代音楽のトラッシュ的な部分に回帰したもののように聴こえる人もいるかも。基本的にSNSでフリー音源が広まってきた世界ながら、その初CDとなるのが、今回登場した彼の『Seapunk』。このリリースをきっかけに、独特の海のトレンドが陸の世界にも広がっていくかもしれません。
bounce (C)轟ひろみ
タワーレコード(vol.355(2013年5月25日発行号)掲載)