カリフォルニア出身で音楽を志しナッシュビルに移ったジョイ・ウィリアムス、そして南部アラバマ出身のジョン・ポール・ホワイトがナッシュビルのライティング・セッション(課題をもとに作詞・作曲家としての腕を磨き合うセッション)で出会ったのは2009年。それぞれが一時はソロ・ミュージシャンを志していたこともある2人だが、互いの才能を評価し合い、The Civil Warsは誕生した。シンプルな編成で男女あるいは人生の機微をブルージーに描くサウンドは、曲ごとに女声/男声それぞれがリードを取りながら豊かに作り上げられていく。ルーツ・ミュージックのようにノスタルジックでありながら確信犯的に"今"を感じさせるサウンドに仕上がっているのは、メンバー2人それぞれが作詞・作曲家としてのトレーニングを受けていることも要因として挙げられる。昨年のデビュー・アルバム『Barton Hollows』リリース前後より、テイラー・スウィフトやアデル等が絶賛してツアーに呼んだことでも話題になり、このアルバムはゴールド・ディスクを獲得、しかもグラミー賞 最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞、最優秀フォーク・アルバム賞を受賞するなど大成功を収めた。その後大歓迎を受けたヨーロッパツアー中の2012年11月に、突如「グループ内の不和」を理由に残るツアーをキャンセルしたことで、"おさわがせデュオ"として話題になったことも。"Our sincere hope is to have new music for you in 2013". というコメントを残してグラミー受賞後の2012年を終えた彼等が、まさにその通り今作で復帰する。妥協を許さない2人ゆえに生まれる音楽なのか?その真価が問われる今作につけられたタイトルは、グループ名そのままの『The Civil Wars』。ジャケット写真も意味深であるが、前作で築いたファン・ベースは大きく、今作にも期待が集まるところ。プロデューサーは前作同様チャーリー・ピーコック。
発売・販売元 提供資料(2013/07/18)
2011年の前作でグラミーの〈最優秀フォーク・アルバム〉を獲得した男女デュオから、ブレイク後初となる新作が到着しました。マムフォード&サンズに代表される明るさ押しのネオ・フォーク勢とはひと味違い、感傷的なメロディーがキモ。ベス・ギボンズのようなメランコリーを湛えた曲もあれば、ジョニー・キャッシュ譲りのダーティーでヒリヒリしたナンバーもあり。流行に左右されない、長く愛聴できそうな一品です。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.358(2013年8月25日発行号)掲載)